夫が海外で過労死、遺族が逆転勝訴、労災適用へ

2016.04.28
東京高裁、1審判決を取り消し

27日、東京高等裁判所の杉原則彦裁判長は、運送会社(本社・東京)の社員として、中国・上海の現地法人に赴任中に過労死した男性(当時45歳)に対し、日本の労災保険が適用されるかが争われた訴訟で、労災保険の適用を認め、労働基準監督署の決定を取り消す判決を言い渡した。

この裁判は、6年前中国・上海にある子会社で勤務していた男性が急性心筋梗塞のため死亡したが、中央労働基準監督署(東京都文京区)は「海外派遣」であるため労災保険の適用外とし、給付をしないとする決定を出していた。

海外勤務における労災保険適用の規定

「海外出張」であれば原則日本の労災保険が適用されるが、「海外派遣者として、現地企業に所属していた」のであれば現地の制度が適用され、日本の労災保険は適用されない。適用されるためには、「特別加入」の手続きを行う必要がある。

裁判では、男性の所属が海外であったかどうかが争われ、1審は男性の所属は海外であったとし、なおかつ、男性は「特別加入」の手続きを行っていなかったため、訴えを退けていた。

杉原則彦裁判長は、男性の勤務が長期出張の扱いだったこと、国内で労務管理され、本社の指揮命令下で勤務していたことを踏まえ、1審の東京地方裁判所判決を覆し、労災保険適用を国に求めた遺族の逆転勝訴とした。

(画像は東京高等裁判所ホームページより)

▼外部リンク

東京高等裁判所ホームページ
http://www.courts.go.jp/tokyo-h/index.html

記事をシェアする

高野勤一
高野勤一