元料理長の原告、全面勝利!仁和寺に約4,253万円支払い命令

2016.04.15
世界遺産「仁和寺」、まさかのブラック体質!?

平成28年4月12日、京都地方裁判所は、京都市右京区御室大内の世界遺産「旧御室御所・仁和寺」の境内にある宿泊研修施設・御室会館で、かつて料理長を務めていた男性(58)が長時間労働を強いられ、精神疾患を発症したとして、時間外の未払い時間外手当や慰謝料など計約4,700万円を求めた訴訟の判決で、約4,253万円の支払いを同寺に命じた。

判決などによれば、男性は平成16年から境内の宿坊「御室会館」で調理業務に従事し、平成17年には料理長になったものの、平成24年8月に「抑うつ神経症」の診断を受けて休職。平成25年7月には労働基準監督署から労災認定を受けているほか、現在も後遺症が残っているという。

発症前年の平成23年の勤務日数は356日に及び、実に349連続勤務であったという。さらにこの間の時間外労働時間は過労死ラインとされる月80時間残業を超えた月140時間以上が常態化。最長で約240時間にも達していた模様。

精神疾患発症と業務の因果関係認める

仁和寺側は、男性は管理監督者で時間外手当は発生しないと主張したが、判決は男性従業員がタイムカードを押すことを求められていたとして退けたほか、月240時間の場合を含め、1年3ヶ月分の時間外手当約1,000万円の支払いを命じた。

また精神疾患発症について、349連勤という有り得ないほどに過重な業務が原因であると指摘し、業務と発症との因果関係も認めた。また、極めて過酷な長時間労働を強きながら、多額の時間外手当を労働基準法に違反して支払っていない点で悪質であるとした。

判決について、仁和寺側は「張が認められず大変残念。内容を精査して控訴を検討したい」とコメントし、男性は「人生を一歩前に進める」と話す一方で、仁和寺から謝罪が一切ないことにショックを受けている旨を語った。

(画像はイメージです)

▼外部リンク

仁和寺
http://www.ninnaji.or.jp/

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高野勤一
高野勤一