マタハラ訴訟、降格に賠償命令

2015.11.24
「マタハラ訴訟」の最高裁上告とは

通称「マタハラ訴訟」の平成26年10月23日最高裁が違法と判断した差戻し控訴審判決が、17日広島高裁であった。

この裁判は、原告の女性が、妊娠中に軽易な業務への転換を契機として降格させた事業主に対し、育児休業終了後の職場復帰後においても元の職位に復帰させないことを不服として、司法の判断を仰いだものである。

裁判の争点は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」9条3項の禁止する取扱いに該当するかどうかであった。

「マタハラ訴訟」の最高裁判決は

最高裁判決では、原告の女性が、軽易な業務への転換及び職位を降格された措置によって、有利な影響があったかどうか内容や程度が明らかではないと認定した。

その上で、この降格という措置によって受けた管理職の地位と手当等の喪失が重大なものである上、育児休業終了後の職場復帰についても、元の職位への復帰を予定していないものといわざるを得ない、と断じた。

「マタハラ訴訟」判決の意義

広島高裁の野々上友之裁判長は、一審・広島地裁の判決を変更、事業主に賠償を命じ、原告の女性が逆転勝訴した。事業主には、精神的苦痛による慰謝料も含めほぼ原告の女性が請求した約175万円の賠償が命じられた。

原告の女性は、「子どもを産み育てながら働き続けたい。そのために、事業主は男女雇用機会均等法を守ってほしい」とのコメントを出した。女性の代理人である下中奈美弁護士は、「働く女性にとって大きな励ましとなる」と判決を評価した。

(画像はイメージです)

▼外部リンク

平成24年(受)第2231号 地位確認等請求事件
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/

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高野勤一
高野勤一