派遣事業者へのキャリア支援を義務化- など労働者派遣法改正案が3月13日閣議決定

2015.03.18
特定労働者派遣事業の廃止と専門26業務の撤廃

派遣分野の拡大は1999年から始まり、製造分野への派遣解禁となったのが2004年の改正だ。これ以前から派遣が認められていた業務が、「秘書」や「通訳」といった専門性の高い26業務である。

この26業務の派遣事業(特定労働者派遣事業)は届出制だが、これを撤廃し全ての労働者派遣事業が許可制となる。許可要件にキャリア支援を義務付けすることで、業界の健全化を図る措置だ。

事業所単位及び個人単位における期間制限とは?

改正にあたって賛否の論点となる派遣雇用期間の上限設定。これまで期間無制限の26業務がなくなり、共通となる期間制限ルールには2つのサイクルが並行する。

1つは、労働者個々の雇用開始期日にかかわらず、派遣受け入れを開始した事業所に対する期間制限。上限を3年とし、過半数組合等との意見聴取で延長が可能(延長回数制限なし)。

もう1つは、労働者個人の期間制限であり、同一組織単位(部や課)での派遣期間の上限が3年。つまり同一事業所内で異動があれば3年以上の派遣勤務も可能となる。

事実上の無期限派遣が可能であり「一生派遣労働者になってしまう」との声があがる一方、「雇止めの理由が減る」「技能を習得して次の就職につながる」との見方もまたある。

“キャリア支援の義務化”が、どう機能していくか

「ワーキングプア」や「収入格差」など、多様な働き方の影で雇用環境の問題は大きくなっている。好調な労働市場のなか、厚生労働省が重点をおくのが正規雇用移行だ。

日本の法律は“法律遵守のためのルール運用”と、しばしば欧米と比較される。行政側に求めたいのは、各派遣事業者が“違反にならないための義務遵守”で終わらないためのチェック体制だ。

施行は平成27年9月1日より。これを機会に、個々の労働者が自分自身のキャリアに対する意識を高め、派遣先と派遣元にはそれを支える倫理意識が高まることを願いたい。

(画像は 第206回労働力需給制度部会:厚生労働省より)

▼外部リンク

3月13日(金)定例閣議案件閣議案件 : 首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2015/kakugi2015031301.html

労働者派遣法の見直しについて : 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386.html

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