「適正な電力取引についての指針」、7回目の改定

2016.03.09
電力小売り全面自由化に伴う改定

平成28年3月7日、経済産業省は、公正取引委員会と共同して「適正な電力取引についての指針」を改定したことを発表した。これは、平成28年4月に電気事業法等の一部を改正する法律が施行されることに伴うものであり、同指針の改定は平成11年12月に作成・公表されて以来、7回目となる。

同指針は、電力市場における公正かつ有効な競争の観点から、独占禁止法上又は電気事業法上問題となる行為等を明らかにしたものであり、今回の改定は4月の電力小売りの全面自由化に向けて電力会社の行為を規制する新しいルールとなる。

電気と他商品または通信などの役務を不当な安価でセット販売することや、供給を制限して新規事業者が電気を調達できない環境をつくるなどの不当な扱い、需要家による契約先小売電気事業者の変更(スイッチング)を妨害する行為、自社のサービスに不当に誘導する誤解を招く需要家への情報提供などの行為を対象とする。

電力大手に適切な対応求める新ルール

「適正な電力取引についての指針」は、主に電力大手グループの行為を規制するものである。「一般電気事業者(電力大手)の適切な対応がなければ、新規参入者は不利な立場に置かれる」と明記していることからも、それは明らかだ。

だが、東京電力や関西電力などをはじめとした大手10社の小売部門のシェアは、工場など大口で約9割以上(92%)、家庭などの小口では実に10割(100%)に達し、ほぼ寡占状態にある。

この現状を鑑みれば、電力市場における公正かつ有効な競争を確保し、消費者が電力小売りの自由化の恩恵を受けられるするためには、電力大手に対し自制を求めるのも致し方ないこととも言えよう。

(画像はイメージです)

▼外部リンク

経済産業省 ニュースリリース
http://www.meti.go.jp/press/2015/03/20160307003/20160307003.html

記事をシェアする

高野勤一
高野勤一