働き方改革で実際に感じた変化は?社員のホンネは…

2019.11.29

2019年4月に働き方改革の制度の一部が始動され、半年が過ぎました。

残業時間の削減や、多様性のある働き方を選択できるなどを実現するという改革の元で、働く人々は、実際に働き方の変化を感じているのでしょうか?

今回の記事では、実際に会社で働く人々が感じた制度やルールの変更点、また働き方改革を導入してもあまり変わらなかった点などをご紹介していきます。

働き方改革は会社内に浸透しているか?

日本マーケティングリサーチ機構の「働き方改革に関する意識調査」の結果によると、85%以上の人が「働き方改革というワードを聞いたことがある」と答えました。

また「働き方改革でどう内容が変わるか知っていますか?」という質問に対しては、「完璧に理解している」が6.93%、「だいたい理解している」が42.82%でした。

しかし、逆を唱えれば、半数近くの人は働き方改革の内容をあまり理解できていないということが浮き彫りになりました。

実際に変わった制度は?

総合転職エージェントの株式会社ワークポートが、全国の転職希望者264人を対象に行ったアンケートによると、実際に変わった点として「22時以降の残業は禁止」「有給を取得するようにアナウンスされた」など、労働時間や残業時間削減に関する変更点が多くみられました。

また、残業時間以外の変更点では、「フレックスタイムやテレワークの導入」「登録型派遣型から無期雇用派遣型への変更」などもあげられています。

残業時間の削減で本当に良い環境になったか?

残業時間や有給休暇の取得に関する変更点が多くあげられていますが、実際に自分のための時間が増えたと答える人は、わずか17.0%にとどまりました。

その理由は、強制的に残業時間を減らされてしまうことで、仕事を早く終わらせないといけないという精神的なストレスや、終わらなかった仕事を自宅に持ち帰る無給作業が増えたということです。

最近では、仕事量は変わらないのにも関わらず、残業時間を規制し強制的に帰宅させる「ジタハラ(時短ハラスメント)」という言葉が広がるようになりました。

内閣府は「長時間労働の是正や柔軟な働き方の普及に伴う余暇時間の増加は娯楽等の消費活動を促進するといった消費行動への影響も想定される」と、働き方改革が国民に与える影響として考察しています。

しかし実際は、働く人々の自分のための時間が増えたとは言えず、むしろ精神的な負担が増えたと答える人もいるほどです。

働き方改革の制度が導入されても、しっかりと運用しなければ、社員の負担は変わらないのです。

それでも残業時間削減は大事なこと

残業時間の削減を強いられ、精神的な負担が増えたと答える人も多いですが、一方で17.0%の人は自分のための時間が増えたと答えています。

自分のための時間が増えたと答えた人は、その時間を「副業」や「スキルアップのための勉強」と考えています。

しかし、副業に関して言えば、会社側が副業を認めない限り、残業時間削減の良い効果を受けられません。

またスキルアップに関しても、スキルアップした社員を会社側が能力を認め、スキルに対する報酬や昇進などの機会を与えていかなければなりません。

いくら働き方改革による残業時間の削減や、有給休暇取得を義務化しても、会社側がしっかりと運用を行わない限り、社員の精神的、身体的負担はなくなりません。

1人あたりの業務の負担を少なくできるようにシェアする、必要であれば残業を許可するなどの対策を考えることが重要です。

また、近年台風などの自然災害が増えてきた日本では、テレワークやサテライトオフィスの導入を進め、社員の通勤に対する負担を少なくすることも重要です。

社員の負担にならない残業時間の削減が実現できたら、次は副業を認める、スキルアップのための勉強を会社側がバックアップするなど、働き方改革によって変更されるべき制度は、まだたくさんあります。

会社は、働き方改革による制度変更を指示するだけではなく、社員の実際の声を聞き、会社内で変更した制度が浸透するように、しっかりとした運用が必要です。

(画像はPixabayより)

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高野勤一
高野勤一