2017年度「デリバリー事業の構造改革」について:ヤマト運輸

2017.05.01
「デリバリー事業の構造改革」の背景

ヤマト運輸は、企業価値向上に向けた持続的成長と収益力強化を目的とした、2017年度「デリバリー事業の構造改革」の内容を決定した。

デリバリー事業を取り巻く経営環境は、想定を上回る宅急便取扱数量の増加と労働不足により急激に変化している。コスト面では、人件費の高騰に加えて、外形標準課税の増税、社会保険の適用範囲拡大などの費用増加がある。

2017年度「デリバリー事業の構造改革」の目的

デリバリー事業の構造改革は、顧客へ高品質なサービスを提供し続けるために、その礎である社員がいきいきと働くことができる「働き方改革」を中心に据え、デリバリー事業の事業モデルをこれからの時代に合わせて再設計することを目的としている。

社員の労働環境の改善と整備

労働時間の管理を入退館管理に一本化し、タイムカード機能が組み込まれたタブレット端末を全国の営業所に導入し、入退館時に端末に社員証をかざすことで、始業時間と終業時間の記録をするとともに、労務管理を徹底する。

ワークライフバランスの推進のため、セールスドライバー(以下 SD)への直通電話を、昼の休憩時間と午後7時以降はサービスセンターに転送するように業務オペレーションを変更する。

宅急便のサービスレベルの変更し、当日再配達の受付時間を20時から19時に1時間繰り上げる。

宅急便の総量コントロール

荷物の急増による社員への負担増を回避するため、現状の体制に見合った水準に宅配便の総量をコントロールし、集配体制の立て直す。

大口の顧客に対し、繁忙期の出荷調整や、届け先への複数荷物をまとめて配達する仕組みの構築など、集配効率の向上や再配達の削減に向けた協力を9月中までをめどに調整する。

「法人顧客プライシングシステム」の新システム導入を検討する。契約運賃の決定プロセスを緻密に割り出し、出荷量だけでなく行き先、サイズ、集荷方法や、燃料費や時給単価の変動などの外部環境変化によるコスト変動等を組み込み総合的に反映できるシステムを構築する。

ラストワンマイルネットワークの強化による効率向上

SDの負担を軽減するため、宅急便の受け取りチャネルの拡充など、ラストワンマイルネットワークを効率化する。

オープン型宅配ロッカーの前倒し導入し、 ITを活用した集配作業の高度化する。また、クロネコメンバーズのサービス拡充し、効率向上に協力してもらえる個人顧客へ新たな運賃割引の導入を検討。

宅急便の基本運賃と各サービス規格の改定

新たな労働力の確保や社員の処遇改善、またラストワンマイルネットワークを強化し9月末までに宅急便基本運賃と各配送サービスの規格を改定する。

(画像はヤマト運輸 ホームページより)

▼外部リンク

ヤマト運輸 プレスリリース:
https://prtimes.jp/main/000014314.html

ヤマト運輸 ホームページ:
http://www.kuronekoyamato.co.jp/

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轟吾郎
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