山陽道多重事故、過労認識しながら運行命令した元運行管理者に執行猶予付有罪判決!

2016.11.21
当時の運行管理者に懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決

平成28年11月14日、広島県東広島市の山陽自動車道の「八本松トンネル」で、今年3月にトラックが渋滞の列に突っ込み2人が死亡、8人が負傷した多重衝突事故で、道路交通法違反(過労運転の下命)及び労働基準法違反の罪に問われた埼玉県川口市の運輸会社「ツカサ運輸」役員で統括運行管理者だった後藤隆司被告(42)の判決が、広島地裁であった。

広島地裁は後藤被告に対し、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)の執行猶予付の有罪判決を言い渡した。法人としての「ツカサ運輸」には求刑通り罰金50万円とした。

被告側の弁護士によれば、「ツカサ運輸」と後藤被告は控訴しない方針とのことだ。

過労状態にもかかわらず運転命令、さらに超過労働

判決によれば、後藤被告と同社は事故前日である3月16日、道路交通法違反(過労運転)などの罪で懲役4年が確定して服役中である運転手の皆見成導受刑者(33)が過労状態であり正常な運転ができない可能性があるのを把握しながら、川崎市から福岡市までの運行を命令した。

加えて、同社の労使協定に基づく時間外労働の上限である40時間を、約47時間と大幅に超過させて働かせていたという。

判決は、動機について「労働時間を遵守していては仕事にならない」「今まで無事故だから大丈夫」という身勝手で会社の利益を優先した悪質なものと指摘。危険な結果が発生する可能性は高く、刑事責任は軽くないとした。

一方で「反省している」とも述べており、反省を評価され執行猶予がついた模様。

▼外部リンク

広島地方裁判所
http://www.courts.go.jp/hiroshima/

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kakimoto