福岡高裁 過労自殺「糸島市に安全配慮違反」賠償命令
2016.11.14
控訴審判決
福岡高裁は、11月10日、福岡県糸島市の男性職員が、過労でうつ病になって自殺したのは市が適切な労働環境の整備を怠ったためとして、男性の妻ら遺族が市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決を下した。
一審判決
1月の一審判決は、市農林土木課長であった男性が、2010年6月に自殺、業務に追われ自殺直前の1ヶ月の時間外勤務は114時間に及んだ。「時間外勤務が100時間を超えたのは、自殺前の1ヶ月だけで、業務が過度の負担をしいるものではなかった」などとして、原告の主張を退けた。
二審判決
男性が自殺前日に「一生に一度とない嫌ごとを言われた」と話していたことや、長時間の時間外労働を踏まえ、公務と自殺との因果関係を認定。
自殺後の市の調査に複数の職員が「(男性は)元気がなくぼんやりしていた」などと答えていたことから、「上司が注意を払えば健康を損なっていることを認識し、負担を減らせた」として、市の安全配慮義務違反も認めた。
一方、男性は管理職として部下に業務を割り振るなど、仕事量を調整できる立場にあったと指摘。市側は精神科などによるメンタルヘルスの相談体制を整えていたが、一度も相談しておらず、「本人の姿勢やメンタルヘルスに関する認識の低さが自殺に深く寄与している」として過失相殺し、賠償額を8割減額した。
▼外部リンク
福岡高裁 HP
http://www.yomiuri.co.jp/
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