最高裁、飲み会後の事故を労災認定!救済の可能性示す

2016.07.12
飲み会後の事故、労災認定される!

平成28年7月8日、最高裁判所第二小法廷は、職場の歓送迎会に参加後、仕事のために会社へ戻る途中に交通事故で亡くなったケースが労働災害に当たるかが争われた訴訟の上告審判決で、労働災害と認定し、遺族敗訴の二審東京高裁判決を破棄し、遺族補償給付の不支給決定を取り消した。

これまで飲み会の後の事故は労働災害と認められず、遺族補償給付が支給されないケースが大半だが、今回の判決で、事情によっては救済される可能性を示した。

ポイントは、労働災害時に労働者が事業主の支配下にあったか否か

ただ、今回の事例は以下のような特殊事情が存在する。

歓送迎会の参加を男性自身は断っており、上司の要請で仕事を中断して途中参加していた。上司の意向もあって、歓送迎会終了後に残業のために会社に戻らざるをえなかった。

この歓送迎会の費用は会社の経費で賄われており、参加する研修生達は、会社所有の自動車によって行われており、事故で死亡した男性も会社に戻る道すがら、研修生の送迎をしていた。

判決などによれば、平成22年12月7日、福岡県苅田町にある金属加工会社の従業員であった男性(34)は、同町内の居酒屋で開かれた中国人研修生の歓送迎会に参加した後、残業のためにワゴン車で会社に戻る途中、大型トラックと衝突事故を起こして死亡した。飲酒はしていなかったという。

▼外部リンク

遺族補償給付等不支給処分取消請求事件 最判平成28年7月8日
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86000

記事をシェアする

月山哲也
月山哲也