実際にあったセクハラ裁判!様々な事例と適用される法律!

2015.08.21
実際にあったセクハラ裁判事例

セクシャル・ハラスメント(セクハラ)は、現代社会の問題のひとつだ。加害者は「セクハラしているつもりはなかった」といっても、被害者が不快に感じていればその時点でセクハラなのだ。ここでは、実際にセクハラによって訴えられた加害者に下された判決を見てみることにしよう。

<東京セクハラ(ちらし広告会社)事件>
会社社長であった被告は、勤務時間中に事務所で原告と2人きりになったところ、原告の尻を触ったり抱きついたり、毎月整理の有無を聞いたりと猥褻な行為を行った。原告は被告に性的行動を拒否する態度を示したところ、些細なことで怒鳴ったり威圧的な態度をとり、さらに抗議をしたところ原告を解雇した。原告は慰謝料として300万円を請求した。

この判決では、被告の行為は原告の人格権を違法に侵害し、また解雇理由が不適切であり解雇権の乱用であるとした。解雇は職務執行として行ったもので、被告会社は連帯して責任を追うべきとして、被告へ慰謝料100万円の支払いを命じた。

<仙台セクハラ(ピアノ教師)事件>
原告は0歳のときから、被告であるピアノ教師に個人レッスンを受けていた。大学在学中まで被告にピアノの指導を受けてきたが、原告が中学3年生の時にキスをしたことからはじまり、大学入学後には複数回性交渉を持たされた。これにより原告は甚大な精神的損害を被り、外傷後ストレス障害・解離性障害を発症、ピアニストになる道も事実上困難に感じている。この判決で原告は勝訴し、900万円(うち100万円は弁護士費用)の請求を容認した。

セクハラに対する法律

現在、日本で法的にセクハラについて規定をしているのは「男女雇用機会均等法」だ。この均等法の11条にはセクハラに対して、
「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する従業員の対応により当該従業員がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該従業員の就業環境が害されることのないよう、当該従業員からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」
と定義規定している。

端的に言うとセクハラとは「相手を不快にさせる性的言動」のことで、その行為が悪質な場合、強制わいせつや準強制わいせつ、強姦罪など刑事責任の対象になることもある。よく、「セクハラに時効はあるの?」という質問があるが、たとえばその不法行為が強制わいせつ罪に該当すれば公訴時効は7年になるなど、時効は該当する罪状によって異なる。また、「証拠が何もないのだけど…」という方も心配は必要なく、たいてい被害者の供述で立件することができる。加害者が妻子持ちであったり、サラリーマンであるとセクハラが発覚した際に致命的になってくるので、和解金で早急に解決できるケースが多いという。

セクハラに対する慰謝料はどのくらい?

日本でのセクハラ裁判で支払いが命ぜられる損害賠償額の相場は、だいたい30〜300万円で性行為に至ってないものは100万円以内、性行為に至っていたりその後精神疾患を発症したり、退職に追い込まれたケースでは100万円以上に変わってくる。しかし、ここ15年でセクハラに対して700万円以上の高額な金額の慰謝料請求が裁判で認められるケースも多くなってきている。

このようにセクハラに対する厳しい判決が増加しているのも、女性の社会進出を後押しを物語っているように思える。一度セクハラやパワハラの事実が世に広まれば、会社の名誉は失われてしまうし、会社側の使用者に責任が追及されることもある。このような風潮からも、会社の管理部門はセクハラをいかに未然に防止するか、その対策が一層大切になってくるだろう。

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高野勤一
高野勤一