厚労省が平成27年度「過労死等の労災補償状況」を公表

2016.07.01
平成27年度「過労死等の労災補償状況」を公表

平成28年6月24日、厚生労働省は、平成27年度における「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、公表した。
 

これは平成14年より、過重な業務が原因で発症した脳・心臓疾患や、業務による強いストレスなどの心理的な負担が原因で発病した精神障害の状況について、その年度中に「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数や、労災請求件数などを厚生労働省が年1回取りまとめているもの。

脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況

請求件数は前年度比32件増の795件で、支給決定件数は前年度比26件減の251件となった。そのうち、死亡件数は前年度比25件減の96件であった。

業種別(大分類)に見ると、請求件数では181件の「運輸業,郵便業」が最も多く、次点で116件の「卸売業,小売業」 、これに「建設業」が111件で続く。

支給決定件数では、請求件数と同様に「運輸業,郵便業」が96件で最多、「卸売業,小売業」が35件で次点だが、これに続くのは34件の「製造業」であった。

中分類では、「運輸業,郵便業」の「道路貨物運送業」が請求件数133件、支給決定件数82件でいずれも最多となった。

職種別 (大分類) に見ると、請求件数では161件の「輸送・機械運転従事者」が最も多く、次点で118件の「専門的・技術的職業従事者」、これに「販売従事者」が95件で続く。

支給決定件数は、「輸送・機械運転従事者」が88件で請求件数と同様に最多となった。次点で「販売従事者」の34件、 「専門的・技術的職業従事者」33件と続く。

中分類では、「輸送・機械運転従事者」の「自動車運転従事者」が請求件数153件、支給決定件数87件で、いずれも最多となった。

年齢別に見ると、請求件数は263件の「50~59歳」が最も多く、次点で233件の「60歳以上」、これに「40~49歳」が198件で続く。

支給決定件数は、請求件数と同様に「50~59歳」が91件で最多となり、次点は「40~49歳」の80件、「60歳以上」が38件で続く。

1ヶ月平均の時間外労働時間数別支給決定件数は、「80時間以上~100時間未満」105件で最も多く、「100時間以上」の合計件数は実に120件にものぼった。

精神障害に関する事案の労災補償状況

請求件数は前年度比59件増の1,515件となり、うち未遂を含む自殺件数は前年度比14件減の199件であった。支給決定件数は 前年度比25件減の472件となり、このうち未遂を含む自殺の件数も前年度比6件減の93件であった。

業種別(大分類)に見ると、請求件数・支給決定件数双方で「製造業」が262件・71件と最も多かった。請求件数では、次点で254件の「医療,福祉」、これに「卸売業,小売業」223 件が続く。支給決定件数では、次点に65件の「卸売業,小売業」、これに「運輸業,郵便業」が57件で続く。

中分類では 、「医療,福祉」の「社会保険・社会福祉・介護事業」が157件で請求件数最多、「運輸業,郵便業」の「道路貨物運送業」が36件で支給決定件数最多となった。

職種別(大分類)に見ると、請求件数では362件の「事務従事者」が最も多く、次点で325件の「専門的・技術的職業従事者」、これに「サービス職業従事者」が183件で続く。

支給決定件数では、114件の「専門的・技術的職業従事者」が最も多く、次点で93件の「事務従事者」、これに「サービス職業従事者」が53件で続く。

中分類では、「事務従事者」の「一般事務従事者」が請求件数241件、支給決定件数61件で、いずれも最多となった。

年齢別に見ると、請求件数・支給決定件数双方で「40~49歳」が459件・147件と最も多く、「30~39歳」が419件・137件と双方で次点についた。請求件数では「50~59歳」の287件が、支給決定件数では「20~29歳」の87件がこれに続く。

1ヶ月平均の時間外労働時間数別支給決定件数は、「20時間未満」で最も多い86件、「80時間以上~100時間未満」が次点で20件、合計件数ではあるが「100時間以上」も172件あった。

出来事別の支給決定件数は、75件の「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」、次点で60件「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が続く。

▼外部リンク

厚生労働省 報道発表資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000128216.html

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月山哲也
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