帝国データバンク、保育所経営業者の実態調査結果を発表

2016.06.23
背景には待機児童問題の深刻化

1990年代後半以降、待機児童の問題が深刻化したため、市区町村及び社会福祉法人に限定されていた保育所事業への株式会社参入が、2000年に解禁された。しかしながら、待機児童の数は依然として高水準である。

平成24年10月から平成26年12月までで、女性の就業者は90万人以上増加、特に0歳から3歳の子どもを持つ25歳から44歳の女性の就業者数は6万人増加した。

そのため、保育園定員の増員以上に、保育を必要とする子どもが増えた結果、5年ぶりに待機児童数は増えることになったのである。

調査結果

帝国データバンクでは、2016年5月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(146万社収録)から保育所経営業者を抽出し、法人形態別、収入高及び損益状況、都道府県別、業種別に集計、分析を行った。

法人形態別では、「社会福祉法人」が全体の85.8%とトップを占めた。「株式会社」(構成比6.0%)と「有限会社」(同1.3%)を合わせた企業(以下「株式会社」という)の参入は472社で、構成比は7.3%にとどまっている。

2015年度の、主業としての保育所経営業者で損益状況が判明した2,023社の業績を見ると、「黒字」は78.2%、そのうち「株式会社」は80.2%で全体と同水準となった。

政府は、平成25年4月から開始した「待機児童解消加速化プラン」の目標を、平成28年度、平成29年度で、更に16万人程度上積みし、平成29年度末までに50万人分の保育の受け皿を確保することとしている。

これによって、更なる市場の拡大が見込まれており、株式会社や異業種からの新規参入にとっては今が好機であるといえる、とレポートは結んでいる。

(画像はプレスリリースより)
(C)TEIKOKU DATABANK, LTD.

▼外部リンク

株式会社帝国データバンク プレスリリース
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p160603.pdf

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小野陽子
小野陽子