労働政策研究・研修機構、企業の転勤の実態に関する調査

2017.11.03
雇用管理における転勤の位置づけや実態、その効果等

2017年10月25日、独立行政法人 労働政策研究・研修機構は、雇用管理における転勤の位置づけや実態、その効果等について企業・労働者アンケート調査(以下、同調査)を行ったと発表した。

同調査は、厚生労働省雇用環境・均等局(当時、雇用均等・児童家庭局)の要請にもとづく課題研究で、アンケート調査により企業調査と正社員調査を行った。

企業調査の調査対象は、全国の常用労働者300人以上の企業10,000社で、正社員調査の調査対象は、調査対象企業において転勤経験のある正社員8人(対象企業全体で80,000人)である。

調査期間は2016年8月19日から9月9日で、調査結果の有効回収数は、企業調査が1,852件(有効回収率18.5%)、正社員調査(転勤経験者)が5,827件(有効回収率7.3%)であった。

調査結果の概要

企業調査においては、「正社員(総合職)のほとんどが転勤の可能性がある」が33.7%、「正社員(総合職)でも転勤をする者の範囲は限られている」が27.5%、「転勤はほとんどない(転勤が必要な事業所がない)」が27.1%となった。

転勤の目的は、「社員の人材育成」が66.4%ともっとも多く、次いで、「社員の処遇・適材適所」「組織運営上の人事ローテーションの結果」「組織の活性化・社員への刺激」などだ。

転勤において考慮した家族的事情等については、「親等の介護」が56.7%でもっとも多く、次いで、「本人の病気」「出産・育児」「結婚」「子の就学・受験」「配偶者の勤務(共働き)」などとなっている。

また、配偶者の転勤を理由に退職した正社員が33.8%で、配偶者の転勤に伴う勤務地変更制度のあるのが2.0%、「制度はないが運用としてある」が16.1%となっている。

一方、正社員調査においては、転勤免除配慮を求めたことが「ある」とする割合は12.2%(男性11.6%、女性14.6%)で、転勤免除配慮を求めた事情は、「親等の介護」が28.2%でもっとも多く、次いで、「子の就学・受験」「出産・育児」などとなっている。

また、転勤があり困難に感じることとして「そう思う」と「ややそう思う」割合の合計は、結婚しづらい29.3%、子供を持ちづらい32.4%、育児がしづらい53.2%、進学期の子供の教育が難しい65.8%、持ち家を所有しづらい68.1%、介護がしづらい75.1%となっている

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

労働政策研究・研修機構 最新の成果
http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/174.html

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谷口透
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