健康診断結果の提出を求めていいの?

2017.06.21
報告義務がある

企業は健康診断を実施した場合、各労働者の健康診断個人票を5年間保存するよう決められていますが、医療機関によっては、健康診断結果を企業へ通知しない医療機関もあります。

しかし、企業は、常時50人以上の労働者が所属する事業所であれば、定期健康診断結果報告書を管轄する労働基準監督署に提出する必要があります。

健康診断の結果の提出を求めることの是非

労働安全衛生法は、使用者に健康診断の実施を義務付け、労働者にその健康診断結果の通知を義務づけています。つまり、企業が健康診断結果の提出を求めても何ら問題はないのです。

ただし、健康に関する情報はセンシティブ情報に該当しますので、利用目的や取扱者などを限定し、適正な取り扱いが必要になります。

求めることができる範囲

労働安全衛生法は健康診断の項目についても定めていますので、企業が提出を求めることができる範囲は法律に定められた範囲に限られます。

それ以外の項目については本人の同意がなければ提出させることはできません。

企業が実施する健康診断ではない健康診断を受診した労働者についても、法定項目については提出を求めることができます。

健康情報の取得はプライバシーの侵害になる?

プライバシー権が権利として認められた背景から考えると、健康情報はプライバシー権により保護されるべき情報といえます。それでは、企業が労働者から健康情報を取得することはプライバシーの侵害になるのでしょうか。

企業が健康診断結果の提出を求める理由は、労働者が労働をできる健康状態にあるか確認するためであって、個人情報の取得を目的としていません。

したがって、労働に関係がある範囲において取得する場合はプライバシーの権利を侵害するとは考えにくいです。

採用前の健康診断

時折、採用応募の必要書類として健康診断結果を求める企業がありますが、法的に定められているのは、雇用するときの健康診断と年1回の定期健康診断です。

採用時に健康診断結果を求めるかどうかは企業の判断に委ねられますが、提出を求めることができる範囲は法定項目に限られます。

まとめ

健康診断結果の提出を求めること自体に何ら問題はないので、労働者が気兼ねなく個人情報を提出できるような信頼関係が労使間にあれば、労働者が提出を拒むことはないと思います。

労働者からの信頼を失うことがないように、企業運営を適正に行っていく必要があります。また、管理方法や取り扱いなどを明確にして掲示することも効果的です。

(画像はイメージです)

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