労基署の調査が入る過重労働のラインとは?
2017.06.13
労働基準監督署が行う立ち入り調査は臨検と呼ばれ、定期監督と申告監督、災害時監督、再監督の4種類があります。立ち入り調査の多くは定期監督です。
定期監督は事前に日程の調整をした上で調査に来ますので、基本的に抜き打ち調査ではありませんが、予告なしに抜き打ちで突然監督官が調査に来ることもあります。
抜き打ちの場合はそのまま調査ができないこともありますので、誠意を持って対応すれば後日に変更してくれることもあります。
長時間労働を抑制するために、政府は立ち入り調査の基準を引き下げる決定をしました。
これまで月の残業時間が100時間を超える企業を立ち入り調査の目安としていましたが、100時間を80時間と引き下げ、監督対象を拡大しました。
80時間に引き下げた理由は労働者の健康を保護するためです。80時間は過労死ラインと呼ばれており、1ヶ月の残業時間が80時間を超えた労働者は、過労死や自殺の可能性が高まると言われています。
立ち入り調査で監督官がチェックする内容は、法令違反がないかどうかです。
事前に調査内容について知らされている場合は対策することもできますが、抜き打ちで調査されてもいいように、日頃からコンプライアンスに気をつけておきましょう。
また、監督官が重要視しているのは、労働者の安全や健康が保護されているかどうかです。
長時間労働やメンタルヘルスによる精神障害など、労働問題として大きく取り上げられている事項については特に気をつけておきましょう。
法令違反があったからといって直ちに罰則が科せられるわけではありません。労働基準監督署は立ち入り調査の結果法令違反があった場合、是正勧告書を企業に交付します。
是正勧告書を受け取った企業は、指定された期日までに指摘事項を改善し、是正報告書を提出しなければなりません。なお、是正勧告を受けた企業に対しては、数年後に再監督が行われるのが一般的です。
調査に訪れる労働基準監督署の職員も人間ですので、対応が悪い企業だと調査もより厳しくなるおそれがあります。好印象になるよう誠実に対応するようにしましょう。
法令違反が認められるような事項があったとしても、決して虚偽の申告をしてはいけません。悪質とみなされれば文書による是正勧告ではなく、送検される可能性もあります。
立ち入り調査は、日頃から労働者の安全と健康を考えて企業運営を行っていれば何も恐れることはありませんが、実施されるとなれば緊張してしまうものです。
立ち入り調査が実施されるのは、一時的であっても労働条件の改善効果があるためです。
労働者のためにも指導を受けて改善した事項については、一時的ではなくその後も遵守できるよう職場環境整備を進めていきましょう。
(画像はイメージです)
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