年俸制の場合は、残業代はどうなるの?
2017.06.01
近年年俸制を取り入れている会社は多くなっておりますが、取り入れている一部企業では残業の解釈の仕方が間違っているところがあります。
解釈の違いで残業代はトラブルになりやすいので、雇用する側の人間も、働く側の人間も年俸における残業代はどうなるのかを把握する必要があるのです。
基本的に、年俸制だったとしても労働基準法の37条にある割増賃金の規制の対象となるので、必ず残業代を支払う必要性があります。会社は使用者であり従業員が労働者という関係が崩れない限りは、この労働基準法の対象外にはなりません。
年俸の話をすると高確率で出来るスポーツ選手の話題ですが、彼らスポーツ選手の年俸の考え方と会社員における年俸の考え方は違います。
プロスポーツにおける年俸制は請負契約となっており、扱いとしては個人事業主であると考えたほうが解りやすいでしょう。
つまり、使用者と労働者といった一般的な会社の雇用関係とプロスポーツ選手の雇用関係は大きく異なっているので、スポーツ選手を基準として残業代を考えるのは根本的におかしいということになってしまいます。
プロスポーツ選手が居残り練習を行ったり、試合が延長となって長時間の戦いになった場合でも残業代が出ることはありませんが、通常の会社員の方は労働基準法に従って残業代をもらうことができます。
年俸制度を導入しているところは、成果主義にしているところが多く、成績や業績に従って給与も増減していることでしょう。
しかし、労働基準法で定められている労働時間を基準として活動することには変わりないので、1日8時間労働の1週40時間勤務という考えも変わらないのです。
稀に、「成果主義にしているから労働時間は管理しない」とか「成果を出していない人間には残業代は払わない」と考えている事業主さんもいますが、その考え方自体が間違っているということに気付いてください。
また、年俸制にしている企業は残業代が月給制よりも膨れる可能性があります。それは、賞与の分も残業代の算定基礎として設ける必要があるため、時給換算にすると単価が上がり、残業代も結果的に上昇してしまうようになるからです。
例外として、年俸制の部分は月給部分にのみ該当させるようにし、賞与は業務や勤務成績に応じて支払うといった仕組みを構築すれば、賞与の分残業代が増えるといった状態から回避することができます。
一部の年俸制を導入している企業は残業代を固定額にして、年俸に含めて支払っているところもありますが、その固定額からはみ出すほどの残業をする必要があった場合は、残業代を支払う必要があるということも覚えておきましょう。
(写真は写真ACより)
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