労働基準監督署の調査ってどんなことが行われるの?
2017.05.25
労働基準監督署とは労働関係のことについて監督する公的機関です。
長時間労働や賃金や残業代の不払いなど労働基準法が守られていない企業を管理、監督するのが役割です。企業の運営実態について法律違反と判断した場合には企業に対して是正するための指導や調査を行います。
そして、悪質な場合には他の機関と連携して強制捜査や逮捕を行うこともできます。例えば未払いの賃金の支払いを強制する場合には裁判所の権限で行うことが可能です。
労働基準監督署の調査は労働基準監督官と呼ばれる調査官が対象の企業にやってきて行われます。
その調査は「定期監督」「申告監督」「災害時監督」「再監督」の4つに分類することができます。調査の頻度は数年に一度といわれています。日本の事業所数は600万ほどあるのに対して、実際の調査の実施は10万件ほどなので、調査する事業者が限られることがわかります。
調査は調査する内容(例えば、労働時間についてや賃金の支払いについてなど)により、必要な書類や対応する担当者が違ってきますが、大まかな流れでは以下のようになります。
・労働関係の帳簿の確認
・代表者や担当者へのヒアリングと関係書類の確認
・労働者へのヒアリングや関係施設への視察
・必要に応じて口頭や書面での是正勧告などを行う
法令違反が見つかった場合には、是正勧告書が、施設の不具合などにより労働者に危険が及ぶ恐れがある場合には施設の使用禁止命令が出されます。
書類での是正勧告が必要な場合には後日指定された日時に労働基準監督署に出向いて書類を受け取ります。是正内容の勧告や指導を受けた場合には改善期日までに改善を行い、改善報告書を提出する必要があります。
労働基準監督署の調査は突然にやってくる場合とあらかじめ日時や必要な書類を指定して行われる場合があります。
突然にやってくる場合には対応に困ってしまう場合がほとんどですが、準備ができていないことや責任者が不在などの理由を丁寧に話すことで日を改めての調査に応じてもらえる場合もあるので誠実に対応しましょう。
また、日時や必要書類を指定された場合には、もれのない様にしっかりと準備するとともに当日調査官からのヒアリングを受ける担当者についても確認しておくことが必要です。
日頃からの対策としては、社員名簿や勤怠状況や賃金の記録などの他、就業規則や労使間の協定の資料、組織図など社内の書類を整備しておくことが大切です。
また、労働者数と業種により総括安全衛生責任者など、特別な管理責任者をおく必要もありので確認が必要です。
労働基準監督署の調査は頻度が高いものではありませんが、法令違反が認められてしまった場合には是正勧告や危険な施設の使用禁止命令が出されることもあります。
企業への調査は急に入ることもありますが、準備が整っていない場合には交渉次第で後日の再調査をしてもらうことも可能です。指導や勧告を受けてしまうと、本来の業務に支障が出てしまう可能性がありますので、日頃から社内の資料を整備しておくことが最も大切といえるでしょう。
(画像は写真AC:https://www.photo-ac.com/より)
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