役職手当がついていれば、残業代は払われないの?
2017.05.18
役職手当がついていれば残業代は支払わなくていい…なんてことを言われる会社もある様ですがそんなことはありません。労働基準法では労働者には働いた時間に応じて賃金を支払わなければならないとされています。
役職手当とは「部長」「課長」「係長」など一定の範囲の仕事や部下の管理監督を行う役目を与えられる従業員に支払われる通常の賃金以外の手当を指します。
役職者の定義や賃金の額は会社ごとに違ってきます。一般的に役職手当は残業手当とは別のもので役職手当を残業代の代わりに充当することはありません。
残業代とは所定の時間を超えて働く場合に、一定の割合を上乗せして給与以外に支払われる賃金のことを指します。残業代は通常の賃金に1.25倍を上乗せした金額が支払われます。
変形労働時間制やフレックスタイム制を導入していない場合には労働基準法により、日の所定労働時間は8時間、週40時間に制限されます。それを超えた労働時間に対しては企業は残業代を支払わなければなりません。
また、休日に出勤した場合に支払われる休日出勤手当や22時以降翌朝5時までの労働に対してに支払われる深夜残業手当は通常の残業代とはまた別の支給になります。
働いていて残業代が支払われないケースにはどの様な場合があるでしょうか?
残業代をはじめとする給与は経営者や役員が雇用している労働者に支払うものです。ですから代表取締役をはじめとする管理者としての役員に該当する役職が与えられている人は雇用者を管理する立場にあるので、残業代が支払われることはありません。
「役員」とは、日本の会社法での定義では「取締役」「会計参与」「監査役」になります。代表取締役や専務・常務など日本の会社組織でよく目にする役職は取締役に含まれます。
また、執行役員は一般的には取締役会で決めた経営方針を実務上で実行する立場の人物になります。ですから、立場上は一般社員と同じく雇用されていることになります。
よくテレビや新聞などで店長の肩書きききがあり「管理職」となるので残業代が支払われないという話題を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、こうした場合には実態のない肩書きだけの「みなし管理職」という場合があり、残業代が支払われないことは違法とされることが多い様です。
管理者の要件としては「労務管理も含めて裁量権があるか」「企業の経営の意思決定に携わっているか」ということがあげられます。取締役会などの決定を実務で実行する立場であれば、店長という肩書きを持っていても残業代不払いに対象になるとは言えないでしょう。
日本の企業では年功序列の昇進制度の影響などもあり、数多くの役職が存在する会社も少なくありません。中には役職手当があるので残業手当が出ない…とされているケースもある様です。
しかし、本来、そうした経営に関わることにない肩書きを持つ人には雇用者としてに残業手当がしっかりと支払われるべきなのです。役職手当に残業代を含めるという考え方は人件費の節約をしたい企業側の意思の表れとも言えるでしょう。
雇われる側はしっかりと法律の知識を身につけて、自分の身を守っていく様にしたいですね。
(画像は写真AC:https://www.photo-ac.com/より)
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