派遣社員は3年まで?知っておきたい派遣の仕組みと期間制限
2017.03.28
「派遣社員は3年まで」と聞いたことがあるかもしれません。実際のところ、それ以上同じ場所で働くのは無理なのでしょうか。その仕組みとルールを理解していきましょう。
2015年に施行された労働派遣法の改正によって、派遣のルールが変わってきました。3年までしか働けないというのは、実は職種によるのです。
厚生労働省が定める法令には、「専門26業務」というものがあります。これには就業期間の制限を受けません。ソフトウェア開発、機械設計、通訳・翻訳、秘書、財務処理や研究開発など26種類が定められています。
この26業務以外に該当する派遣契約は、すべて「自由化業務」と呼ばれており、これが同じ場所で最長3年までしか働けません。
自由化業務には、「個人単位の派遣期間制度」と「事業所単位の派遣期間制度」に分かれています。いずれも3年という単位は同じなのですが、少し状況が変わってきます。
「個人単位の派遣期間制度」というのは、同じ人が派遣先で、3年以上の受け入れはできない、ということです。
例えばAさんが3年働いたあと、Aさんは継続できませんが、企業はBさんを、派遣者として新たに3年受け入れることができます。
一方で「事業所単位の派遣期間制度」というのは、派遣先の同一事業所において、3年以上継続した労働者派遣の受け入れはできない、ということです。
例えば、人事課1係で3年働いたAさんは、同じ部署で働くことはできませんが、例えば会計課など部署を変えて3年働くことが可能になります。
いずれの期間制度でも、企業は労働組合に対して「意見聴取手続」を行い、意見を聞いた上で派遣社員の受け入れを決めます。
この「3年」は企業が設定する期間です。つまり「自由化業務」で受け入れたAさんが1年で辞めてしまった場合、次に就業するBさんの就業期間は、Aさんの就業期間から数えられるため、2年しかありません。
派遣スタッフにとっては、嬉しい条件ではないのが事実です。
では一度働いた企業では、派遣スタッフは二度と働けないのでしょうか。ここで知っておきたいのが「クーリング期間」。個人単位・事業所単位の期間制限とも、期間制限の通算期間がリセットされる空白の期間を指します。
つまり、Aさんが3年働いたあと、3ヶ月の期間をおくことで、同一の派遣先で再度働くことが可能、ということになります。
もともと雇用促進を目的として施行されたこの制度。派遣労働者の雇用安定措置を派遣元にも義務づけていますが、企業側が必要としなければ、「3年しか働けない」という事実は変わりません。
人材育成の観点からも、3年という上限が果たして適切かどうか、考えてみる必要があるかもしれません。
労働者にとっても、派遣社員を選ぶのか、正社員を目指すのか、しっかりと目的を持った仕事と働き方を、選ぶべきかもしれませんね。
(画像は写真ACより)
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