試用期間中の解雇に関する必要事項

2015.06.08
はじめに

多くの会社は採用後試用期間が設けられています。これは面接時では知り得なかったことを試用期間中にお互いに知るということだと考えます。従って試用期間中に本採用に至らないということが決まることは有り得る話です。さて実際にはどうなのでしょうか?

試用期間と雇用契約

試用期間は採用の後に長期雇用を前提として、従業員としての適格性、業務適性などを観察し評価するために設けられる期間と一般には定義されます。しかし雇用契約は試用期間中であっても成立していると解釈されると認識してください。しかし雇用契約に試用期間が明記されていると正式採用を会社が拒む権利を持っていると考えられます。

雇用契約が成立している以上これは労働基準法・労働契約法の解雇にあたります。従って勤務14日を経過していれば一方的な解雇は認められないことになります。

解雇できる理由

労働契約法16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定義されており、たとえ試用期間であっても適用されることに留意する必要があります。

さて上述の「客観的に合理的な理由」、「社会通念上相当」という条件とはどのようなものを指すのでしょうか?

よくある例として仕事上の能力や適正を欠いていることがあげられます。該当する仕事が遅かったり、正確性を欠いているということになるのですが、裁判では解雇による不利益を考え、使用者が適切な指導を行ったか、配置の転換を考え実行したかなどが問われます。

営業職などでは成績不振を理由にあげられることが多いと考えられますが、そのことによる会社の損害が解雇をもって臨まないといけないほどに重要かどうかが問われます。また上記同様に適切な指導をし、その指導に応える機会を与えたかどうかも問われることになります。

また、解雇に至った過程において会社側に落ち度がなかったかなどが問われますので十分にご留意ください。

解雇予告手当や失業保険に関して

不幸にして解雇ということになった場合勤務15日以降であるならば1ヶ月前の解雇予告もしくは解雇予告手当を請求することが出来ます。これは試用期間であっても雇用契約が成立していますので法律的には適法ですので労使双方ご留意ください。

労働者であるかぎり原則的に雇用保険(失業保険)に加入していると考えられます。雇用保険は失業以前の加入期間によって受給資格が発生しますのでその点についてはハローワークの窓口などで確認されてはいかがでしょうか。

たとえ新卒採用であったとしても31日以上の引き続き雇用の見込みがある場合で1週間の所定労働時間が20時間以上の場合使用者は原則的に加入の義務がありますので、受給できる可能異性がありますのでぜひご確認ください。手続きには離職票などの書類が必要となりますので前職離職の際は必ず交付を受けておいてください。

まとめ

試用期間でも雇用契約は成立しています。本採用拒否には合理的な理由が必要です。

記事をシェアする

佐藤幸吉
佐藤幸吉