懲戒処分に当てはめよう! 懲戒処分の原則の考え!
2016.09.26
懲戒処分を下すときには、感情的な判断で偏った処分にしてしまうことに気をつけたいものです。実際にこうした不明瞭な処分が裁判に持ち込まれるケースもあります。
一時の感情的判断が、最終的に企業の名誉を損なう結果になってしまう恐れもあります。
今回はそんなリスクを回避するためにも懲戒処分で意識したい「原則」を紹介します。
(画像はイメージです)
①罪刑法定主義の原則
懲戒処分をする際は、処分の対象となる行為と処分の種類、内容を予め就業規則で決めておく必要があります。
②適正手続の原則
就業規則や労働協約に則った処分手続が必要ということです。重罰が下されるときには、本人の弁明に十分耳を傾ける必要があります。
③合理性・相当性の原則
処分を決める際には、問題が起こった経緯、背景、酌量の余地を考慮しなければいけません。
④平等取り扱いの原則
同じ罪に対して処分の重さを変えてはいけません。
⑤個人責任の原則
1人がした行為に対して、連帯責任を負わせてはならない。
⑥二重処罰禁止の原則
過去の罪に対して二重に罰することはできません。二重の処分をすると、あとの処分が無効になってしまう可能性があります。
⑦不遡及の原則
懲戒に関する就業規則が定められる前の行為に対して、処分を下すことはできません。
以上が「懲戒処分の原則」です。少しルールが多いように感じられるかもしれませんが、一番重要なのは「想定される問題に対して、規則が整備されているか」ということです。
非違行為や業務命令違反に厳正に対処するため、今一度就業規則の見直しが必要でしょう。
では、この懲戒処分の原則に則って例を紹介します。
甲社で働いているAさんは、頭髪の色が原因で懲戒解雇されました。この経緯はこうでした。
安全会議に出席したAさんは、髪を黄色に染めていたところを甲社の課長と専務の目に留まりました。課長は、取引先からAさんが染髪していることでクレームが来た、とウソをつきAさんに髪色を元に戻すように求めました。
黒色に戻すように言われます。しかし、Aさんは「組合に相談したところ、染めていることでクビにはならない。クビになるなら黒色に戻す。」と主張し、さらに染めてからプライベートでのメリットを強調しました。
課長と専務が、Aさんの父親を介しての説得を行い、さらに始末書の提出を求めたところ、茶色が残る程度に黒染めを行いました。専務はこれを認めず、さらに要求した始末書も提出しなかったとして、その場で論旨解雇を通告しました。
今回の処分で問題になったのは、髪型や髪色といった人の人格・自由の制限は、企業活動に必要で合理的な範囲内でしか認められないということでした。
さらに、課長の事実のねつ造からは、対外的影響より社内秩序を維持する目的が伺えるということ、Aさんが1回染め直しに応じたのにも拘わらず、黒色以外は認めないとして始末書の提出を要求する態度を頑なに変えなかったことは、合理性、相当性に欠ける措置であったとしました。
今回は、課長・専務のとった言動に様々な問題はあったものの、大きく③合理性・相当性の原則を無視したものと言えたでしょう。
このような教訓から、懲戒処分を下す際には「懲戒処分の7つのルール」を十分意識するようにしましょう。
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