ちょっと待った! 懲戒処分を行う前に確認する判断材料と要件
2016.09.18
多くの社員が働いている企業では、さまざまな問題が起こります。職場の秩序を維持するために、使用者は時に社員に”懲戒処分”を命じなければならないときもあります。
しかし、その処分は正しいのかについては、冷静に検討する必要があります。今回は、懲戒処分をする基準となる判断材料と要件についてご説明します。
(画像はイメージです)
まず、懲戒処分をするにも懲戒処分についての項目を「就業規則」について設ける必要があります。
懲戒処分で解雇を行う場合は、企業の就業規則が基準となります。企業がどのような就業規則を設けるかは自由ですが、就業規則がない場合は懲戒処分は認められなくなります。
とは言っても就業規則に記載さえあれば、例えば遅刻が解雇に直結することはあるのでしょうか?
就業規則には、「合理性」がなければ労働基準法違反となる恐れがあります。よって、仮に就業規則に懲戒処分の記述があったとしても、それが「合理性に欠けている」と判断されれば無効になります。
過去の判例をみてみましょう。あるアナウンサーが2回の遅刻により解雇されたことに対し、最高裁は「解雇理由に対して処分が重すぎる」として、解雇が無効になりました。
一方、遅刻に対する再三の注意にもかかわらず遅刻を続けた社員は、「改善の余地が見られない」として裁判所は解雇を認めたケースもあります。
同じ過ちを犯しても、その程度によって客観的に判断が下されるのです。
懲戒処分を行うには、最低でも次のような要件が必要です。
(1)懲戒事由や処分の重さが就業規則に予め規定されている
(2)懲戒規定の内容は合理的である
(3)処分は平等に行われる
(4)違反行為に対して相当な処分である
これ以外にも、別の記事で「懲戒処分を行う際に気をつける7つの原則」を紹介していますので、参考にしてみてください。
また、懲戒処分の対象になる行為として、次のような行為は就業規則にしっかりと規定を作っておくべきといえるでしょう。
①勤務不良
②職務怠慢
③業務命令違反
④不正行為
⑤経歴詐称
⑥名誉毀損
⑦秘密漏洩
⑧有罪判決
⑨二重就職
⑩ハラスメント行為
特に、近年パワーハラスメント(パワハラ)や、セクシュアルハラスメント(セクハラ)に対する、厳正な処分が求められています。
就業規則に穴があれば、懲戒処分を下せなくなってしまうため、今一度「果たして抜けはないか」「時代にあった就業規則を作れているか」といった確認が必要でしょう。
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