新たな就業規則の効力はいつから?就業規則の周知タイミングと手続き
2016.06.11
就業規則は常時10人以上使用する事業所であれば作成する義務がありますが、労働法の改正や企業体制の変更などで就業規則を変更することがあります。
就業規則を変更する場合は意見聴取、労働基準監督署への届け出、労働者への周知といった一連の手続きを作成の場合と同様に行う必要があります。就業規則を変更したことを周知するタイミングは、変更された内容を周知させる時期と同時期で問題ありません。
就業規則の変更は必ずしも労働者にとってプラスになるとは限りません。就業規則の変更によって不利益を被る労働者もいます。就業規則の不利益変更は合理的な理由がある場合を除いて認められていません。
変更が合理的なものであるかどうかは個々の事情によって異なりますが、変更によって労働者がどのくらい不利益を被るのか、その変更が本当に必要なのかなどを総合的に勘案して判断します。
就業規則ができたらその内容について、労働組合または労働者の過半数代表者の意見を聴取しなければなりません。就業規則は使用者が一方的に作成するものであるので、全面的に同意を得ることはできず反対意見も出てくるでしょう。
しかし、この意見聴取の目的は労働者に同意を得ることではありません。新しい就業規則に対する意見を聴取するだけでよいのです。反対意見が出ても問題ありません。
意見聴取を経たら労働基準監督署へ就業規則を提出します。提出するときは新たな就業規則と就業規則変更届、意見聴取のときに出た意見をまとめた意見書を合わせて提出します。
労働基準監督署への届け出が済めば労働者に周知することで手続きは終了しますが、この最終段階が最も重要です。就業規則に拘束力を持たせるには労働者に周知させなければなりません。
就業規則の作成または変更手続きにおいて、意見聴取や労働基準監督署への届け出を怠っても、労働者に周知させていれば就業規則は法的拘束力を持つとされています。
周知の方法は事業所に掲示する、書面を交付する、電磁的記録で保存していつでも誰でも閲覧することが可能な状態にしておくなどして、労働者が変更のあったことを知ることができる状況にします。
就業規則の変更は企業体制が変わった場合だけではなく、例えば最低賃金の変更のように法令が改正された場合でも行う必要があるので、使用者としては多少面倒に思うかもしれません。
しかし、就業規則の作成または変更手続きは使用者の義務であるので、手続きの流れをしっかりと把握し、変更が必要になったときにすぐに行動できるようにしておきましょう。
(画像はイメージです)
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