休業が不正に利用される!?不正休業の種類と対応方法!

2016.05.28
休業の実態

企業によって取得できる休業は様々ですが、年次有給休暇にはじまり慶弔休暇や病気休暇、育児・介護休業など多くの種類の休業があります。

労働者は休業を取得したい事由に応じて適当な休業を取得しますが、就業規則の規定を利用して不正に休業を取得する労働者もいます。このような場合にどのように対処したらよいのか事例を交えて説明します。

慶弔休暇の不正休業

慶弔休暇の不正休業として考えられるのは、結婚式に出席するとして虚偽の申請をして休暇を取得することや、家族や親戚が存命しているにもかかわらず死亡したとして虚偽の申請をして休暇を取得することなどがあります。

実際の事例としては、親戚の葬式と親の法事を理由に合計17回もの慶弔休暇を不正に取得した事件があります。不正休業した労働者は停職6ヶ月の懲戒処分となりました。

対策としては、結婚式であれば招待状を確認すること、葬式であれば死亡した証明を提出させることで不正休業を防ぐことができます。

病気休暇の不正休業

病気休暇の不正休業として考えられるのは、体調は万全であるにも関わらず体調が優れないと虚偽の申請によって休暇を取得することがあります。

実際の事例としては、一度通院して診断書と領収書を発行してもらい、これを元に書類を偽造して105日以上の病気休暇を不正に取得した事件があります。不正休業した労働者は懲戒免職処分となりました。

対策としては、診断書や領収書の提出させることはもちろんですが、その診断書や領収書が適正なものかどうか精査することで不正休業を防ぐことができます。

企業の不正休業の場合

企業側が不正休業する可能性もないわけではありません。企業の不正休業として考えられるのは、雇用調整助成金を受給するために労働者を休業させることがあります。

実際の事例としては、表向きは休業として労働者に仕事をさせ、休業のため労働者に対して賃金を払わず休業手当を支給し、企業は雇用調整助成金を受給した事件があります。労働者は内部告発を考えましたが、職を失うおそれから断念しました。

対策としては内部告発を行うことです。そうすれば本来支給されるはずだった給与も、計算されて正しく支給される可能性があります。

不正休業の対応方法

労働者の不正休業が発覚した場合は然るべき対応を取らなければなりません。罰則については就業規則に規定があると思いますが、どういう処分とするかは個々の事例によりますので一概には言えません。実際の事例のように不正の程度によって判断すべきです。

しかし、解雇については、解雇予告をしなければなりませんので即時解雇はできません。即時解雇したければ解雇予告通知書の代わりに手当を支給するか、除外認定を受ける必要があります。

不正休業に限らず不正行為は必ず発覚します。例えば、休業中に休業手当を受給しながら隠れて仕事をしていても、相手方が給与を支給すれば源泉が発行されますので発覚します。
発覚すれば懲戒処分や罰金など不正によって得た利益以上のものを失うことになります。

(画像はイメージです)

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高野勤一
高野勤一