【懲戒処分】事業主なら知りたい「上手な」手続きと通知書

2016.05.27

(画像はイメージです)

会社は人が集まって経営されており、成り立っているものですので、時には「犯罪」や「経歴詐称」、「不倫」などの問題行動を起こす社員が出てくることもあるかと思います。

そんな時によく採られるのが「懲戒処分」という「不祥事を理由とした」処分の方法です。

懲戒処分を行う際には、口頭だけではなく「書類での通知」が必要になり、「下手な手続き」をすると告訴される可能性があります。今回は、「上手な」通知方法や手続きについて紹介していきます。

懲戒処分って何?

そもそも、懲戒処分とはどういった際に使われる言葉なのでしょうか。独立行政法人・労働研究・研修機構のHPにはこのように書かれています。

懲戒処分とは、使用者が従業員の企業秩序違反行為に対して課す制裁罰であり、戒告、けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇などの処分があります。

引用:http://www.jil.go.jp/rodoqa/07_jinji/07-Q12.html

つまり、冒頭でも話したとおり「何かしらの不祥事」を従業員が起こした場合に、場合によっては取る処分のことを指すのです。

なお、懲戒処分は「社会的な合理性」と「法的な根拠」がなければ、場合によっては無効にされます。

例えば、
・(ブラック企業で、勤務時間対策をしている場合)タイムカードを押したから懲戒解雇
・「結婚したらすみやかに寿退社と就業規則で定めているからと、女性社員が結婚報告をしたから懲戒解雇(※男女雇用機会均等法での処分も被る可能性があります。)

などといった、「社会的な合理性」も「法的な根拠」もない理不尽な処分は従業員の方から何かしらのアクションが起きる可能性がありますし、場合によっては事業主が法的に裁かれることも考えられますので、要注意しましょう。

懲戒処分時の流れ

懲戒処分をする場合の流れは、以下のようになります。
1,不祥事の発生
2,当事者や関係者へのヒアリングで、事実関係を調査
3,懲戒事由について、就業規則と照らし合わせる
4,懲戒処分の量刑について検討
5,就業規則に載っている手続きを適正に取る
6,処分内容決定
7,本人への通知、実施、社内公表(※プライバシーへの配慮が必要)

2番のフローに関しては、最初の山場と言えるフローです。
事実関係を明確にすることで、懲戒処分通知後に「やってないやった」論争で時間を消費する可能性が減らせます。

4番・6番のフローでは「懲戒処分の量刑」を決めることになりますが、基本的に懲戒処分の量刑の重みとして重い物順に並べると、こうなります。

1,懲戒解雇
2,諭旨退職(自分から辞めるようにそむける懲戒処分)
3,降格
4,出勤停止・停職
5,減給
6,戒告・譴責(「強くいましめる」意味合いの懲戒処分)

また、たくさんの場面で「就業規則」という言葉が登場しますが、基本的には懲戒処分は「会社内での」処分となります。

ですので、法律で裁かれないことでも処分をすることがある…という関係上、就業規則を普段からしっかりと整えておくのは大切です。

解雇処分の通知書の書き方

解雇処分ですが、解雇処分を実行する際には「口頭」だけではなく「書面」で通知する必要があります。

その懲戒処分を告知する書類には
・発令番号
・受令者
・発令者
・懲戒処分の理由
・懲戒処分の根拠
・懲戒処分の裁量

を明確に書かなければなりません。
特に、下の3事項に関しては明確にしなければ揉める火種となってしまいますので、注意して書くようにしましょう。

また、懲戒処分を決定するまで「自宅待機命令」を取る場合があると思いますが、自宅待機命令をする際にも書類は必要となります。

この際には、発令番号、受令者、発令者を明確に書く必要がある他、期間と自宅待機期間中の給与(※通常時の給与の6割以上)についても明記する必要があります。

参考
懲戒処分の通知書の作成例
http://www.mykomon.biz/trouble/chokai/chokai_shoshiki.html

自宅待機命令の書類の作成例(※12番)
http://www.aratasr.com/page_013.html

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高野勤一
高野勤一