労働トラブルの味方「個別労働関係紛争解決促進法」を知ろう!
2016.05.24
(画像はイメージです)
みなさんは「個別労働関係紛争解決促進法」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
なんと名前だけで13文字にも渡る、労働者と使用者の間にある労働に関する法律ですが、もし紛争になった時には大変重宝する法律ですので、ぜひ覚えておきたいところです。
さて、今回はそんな「個別労働関係紛争解決促進法」について取り上げていきます。
この法律の歴史は新しく、今から15年前の平成13年に生まれた法律となります。背景にあるのは、労働者個人使用者の間でのトラブルが増加したことでした。
1991年に日本はバブルが弾け、「失われた20年」の時代に突入していきます。
それまで、戦後以降の日本は右肩あがりで成長していき、東京オリンピックに代表される「高度成長期」や、1970年代から1980年代前半の安定成長期、1980年代後半のバブル時代などで日本は絶好調でした。
しかし、1990年代に入ると景気が一気に悪くなり、企業に回るお金が少なくなったことから「フリーター」や「派遣社員」などといった働き方が登場した他、そのしわ寄せは正社員にも寄ってきました。
こうした景気の悪化によって、社員の雇用環境が悪くなり、このような相談が増えたことにより、この法律が作られたのではと推測します。
では、そんな「個別労働関係紛争解決促進法」とはどういった法律なのでしょうか。
「個別労働関係紛争解決促進制度」では、労働者個人と使用者の間でトラブルが発生した時は
1,総合労働相談サービスでの相談
2.都道府県労働局長による、これまでの事例に基づいた個人労働関係紛争の解決についての助言
3、「紛争調整委員会」(※専門家チームで結成)による、個人間紛争の解決のあっせん
を行っており、すべて無料で受けられることができます。
そして、こういった自主解決の促進制度を促進するために運用されているのが「個別労働関係紛争解決促進法」でとなります。
さて、ここからはこの「個別労働関係紛争解決促進法」を利用して個人間紛争を解決した事例をいくつか載せていきます。
ケース1:学生アルバイトAさんの場合
学生アルバイトAさんは、店長からいじめの言葉を受け、精神的苦痛によって退職をほぼ強要されたことから、補償のためにあっせん制度を利用しました。
あっせん委員さんが説明を店長に求めたところ「人格否定」はなかったものの、「大声での指導」があったとのことで、それがAさんにとっては「いじめ」に受け取られた可能性がある、とのことでAさんと店長は毎月のアルバイト代の半月分にあたるお金を支払ったことによって、解決しました。
ケース2:管理職Bさんの場合
管理職として、C社で働いていたBさんは「病気の療養」を理由に1ヶ月間休業していました。
ところが、業務に復帰すると「管理職から一般職に降格する」とのことで賃金を25%引き下げられてしまいました。
結局、Bさんはその月の月末で退職してしまいましたが、「納得行かない」ということであっせん委員会に助けを求めました。
あっせん委員は、Bさんの言い分「欠勤が多いから賃金引き下げは納得行かない」と会社の言い分「能力が足りないし、Bさんに話をした時には反論が出なかった」という両方の言い分をヒアリングし、最終的には会社側は賃金の差額分を支払うことで合意しました。
いかがでしたでしょうか。
このように、「個別労働関係紛争解決促進制」は「労働トラブルの駆け込み寺」となっており、労働者も事業者も気軽に使用できることから、労働トラブルが起きた「まず最初に」利用しておきたい制度となっています。
もし、労働トラブルが発生した場合は「ぜひ」利用してみてください。
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