年俸制と月給制、時給制の残業手当の計算式
2016.05.07
一般に年俸制とは、賃金を1年単位で決める支払い形態のことを指します。つまり、「○○さんの給料は1年間で○○万円です」という具合です。月給制や時給制との違いは、あくまでも「賃金の支払い形態の違い」にすぎません。
法で定められた労働時間(1日8時間・1週間40時間)は、賃金の支払い形態とは何の関係もなく、法律で決まっています。そして、これを超えた時間分の残業代の支払い義務も、賃金の支払い形態とは一切関係ありません。決して、「年俸制には残業代も全て含まれているので、何時間働こうが残業代を払う必要はない」ということはありえないのです。
それでは、年俸制の具体的な例として、「1日の所定労働時間が7時間」「年間の休日が120日」「年俸600万円に時間外労働を各月20時間分含める」を挙げて、残業代を計算してみましょう。
まず、割増賃金の計算の基礎となる「基礎賃金」を計算するために、1年間における1ヵ月平均の所定労働時間を計算します。「年間労働日数(365-120)日×1日の所定労働時間である7時間÷12ヵ月=142.9時間 」。
次に、月20時間分の残業代がいくらになるかを計算します。仮に、月20時間分の残業代をXとすると、以下の式が成立します。「(50万円-X)÷平均所定労働時間142.9時間×法定割増率1.25×20時間=X」。よって、X=74449円となります。つまり、上の例の場合、法で定められた割増額以上にするには、年俸の月額50万円に月20時間分の残業代として、74449円以上が含まれている必要があります。
月給制の場合は、1ヵ月の基礎賃金を前記1ヵ月あたりの所定労働時間数で割ることによって、1時間当たりの基礎賃金を算出することができます。これを、「1時間あたりの基礎賃金×時間外労働時間×法定割増率1.25」で計算すると、残業代の金額が弾き出されます。
時給制の場合は、法定労働時間8時間を超える普通の残業なら時給の25%増し、午後10時から朝5時までの深夜残業なら50%増し、休日出勤の場合なら35%増しとなります。
ちなみに、深夜割増手当について補足すると、法定労働時間超過の是非にかかわらず0.25割増加算が発生します。これは管理監督者も同様です。時給1000円の労働者の場合は、時間外勤務手当は1250円、深夜割増手当は250円になります。なので、法定時間外かつ深夜勤務の場合は1500円になるのです。
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