残業は強制なの?残業命令はどこまで権限があるの?

2015.03.31
もっと早く仕事すれば、残業なんていらないのに

残業をしている最中、脳裏によぎること・・・。

『そういえば定時に帰ったのいつだっけ?ここ最近、残業している記憶しかない』。この残業地獄はいつまで続くんだろうなぁ。

会社勤めをしていると、忙しくなればなるほど残業を余儀なくされることがあります。契約上では、定時は18時だったとしても、仕事が終わらなければそのまま残業に突入。

上司からは、仕事のスピードが遅いからだと言われたりしますが、実際は無駄な時間が多いんだよなぁって、内心思ってみたり。一度残業が当たり前になってしまうと、拒否するのも億劫だし、仕事が終わらないから仕方ないって思ったりしていませんか?

実際、残業に関する定義や会社が持っている権限など知らない人がたくさんいます。

やりたくない残業を断れるかもしれない!って思った方、一度理解しておくといいかもしれません。

残業は、法律と契約書でしっかり定義されている!

残業は、客観的に見ると法律と契約書でしっかり定義されています。

逆にいうと、この2点がなされていなければ、たとえ業務命令だったとしても効力を発揮いたしません。

つまり、会社に残業を命じる権限がないということになります。法律は、俗にいう36協定(サブロクキョウテイ)。残業及び休日出勤に関する規定について、労働基準法第36条において結ばれている労使協定です。

会社が、『事業所の労働者の過半数で組織する労働組合』、もしくは『労働者の過半数を代表する者』とこの36協定を締結している必要があります。

そして、会社が雇用者と労働契約や就業規則において『業務上の必要あるときは、時間外・休日労働を命じる』などの記載がある場合。

上記の2点がある場合、労働者は正当な理由がない場合、残業命令を拒否することができなくなります。

36協定の範囲内で、強制させられる残業

残業させられる上で、業務上における正当な理由とは、以下の項目があげられます。

・月45時間以内というように、36協定の範囲内での残業であること。
・業務上必要性のある労働であること。
・社員の健康を害さない業務命令であること
・社員の私生活における影響を害さないこと(家族の保育や病人、要介護者への配慮)
・社員が残業不可能な理由を具体的に聞き拒否してきた場合、正当性があるか考慮していること。

これらの要件が守られている限り、残業命令は正当なものとなり、効力を発揮します。

逆に社員は、この条件のもと残業を拒否する場合、業務命令違反になり、会社は懲戒解雇が可能になります。

過去の残業における裁判の判例において、重要になっている要素は『36協定が有効かどうか』が、鍵となっている様です。

逆にいうと36協定を結んでいなかったり、結んでいたとしても不備があった場合、残業命令は無効という判決が出された裁判もあるそうです。

まとめ

単純に繁忙期だから忙しいとか人が足りないからなど、心情的な理由ではなく、法律で定められている残業命令。

人手が足りなかったり、社員の体調を崩すくらい業務がタイトだったりするのはそもそも社員に原因があるわけでなく、経営者に問題があります。

日本では、長く働くことが美徳とされる文化もあるようですが、欧米諸国の考え方は真逆です。

無駄な残業を減らしワークライフバランスをしっかりとって長く働ける状況を作っていって欲しいですね。

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細田正信
細田正信