人事異動するときに必要な誓約書って何?誓約書の効力と根拠!

2016.04.01
入社時に書いた誓約書が重要

もしも、読者のみなさんが入社時に誓約書を提出していて、そこに「転勤などの人事異動に応じる」などの内容があった場合、残念ながら人事異動を拒否することはできません。勤務地が複数あるような会社の場合、なおさら要望には応じてもらえないことがほとんどです。そうでないなら、拒否権はわずかながら存在します。その場合、なぜ異動を断るのか会社から厳しく問い詰められることでしょう。

誓約書の主な内容としては、「誠実に勤務をする」「就業規則に従う」「会社に損害を与えた場合は責任を取る」「会社に提出した個人情報について、特定の必要性がある場合は、会社の使用することに同意する」「会社の名誉を汚さないようにする」などがあります。この中に、先ほどの「配置転換や転勤などの人事異動をすることに同意する」という項目を入れる会社もあります。

たとえ誓約書でも効力はあります!

なかには、「わざわざ誓約書を用意する必要があるのか?」と疑問に思う経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、このような誓約書を締結したとしても、それがどこまで法的に効力が出てくるのか疑問視する声もあります。

しかし、ほとんどの会社には人事異動の必要性が出てくることがあります。このとき、まれにその業務命令に従わなかったり、服せないという従業員が出てくることがあります。そんなときに、誓約書で人事異動についての個別合意を得ていれば、会社の業務命令権がより強く認められるという法的効力があるとされます。

社員からしてみたら、異動の不安や家庭の事情など、様々な理由で人事異動を拒む気持ちがあるのも事実です。とはいえ、会社が従業員各々の事情をいちいち聞いていては業務になりません。人事異動や転勤は、会社や従業員にとって何かとトラブルの発生しやすいものです。だからこそ、トラブルが発生したとしても、会社としての保全をしておく必要があるのです。

上記のような人事異動があり得る会社の場合は、誓約書は必要です。しかし、人事異動がない会社の場合、必要かどうかは微妙かもしれません。法的効力についても、人事異動以外の項目では微妙な部分があります。

ただ、入社してからどのようなことがあるかわからないのが世の常です。入社時のプロセスとして誓約書をとらえて、個人情報についてトラブルになるかもと後日の準備として、念のために取得しておくという感じで導入しておいたほうが無難ではないでしょうか。

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高野勤一
高野勤一