裁判員に選ばれた!?その際に必要な手続きと給料

2016.02.29
裁判員は「クジ引き」で選ばれる?

2009年5月21日から開始された『裁判員制度』。制度開始までには、国民の間でも賛否両論がありましたが、いま現在まで特に大きなトラブルもなく、順調に世間に広まるようになりました。

裁判員制度の具体的な流れは、まず各地の地方裁判所ごとに、管内の市町村の選挙管理委員会がクジで選んで作った名簿に基づいて、翌年の裁判員候補者の名簿を作成します。そして、各候補者に通知されます。この段階で裁判所に行く必要はありません。

重要なのは、裁判員は原則として辞退できないということです。ただし、次のような場合は裁判所の判断で辞退になる可能性があります。
 1. 70歳以上の人
 2. 地方公共団体の議会の議員(会期中に限る)
 3. 学生・生徒
 4. 5年以内に裁判員や検察審査員などの職務に従事した人
 5. 3年以内に選任予定裁判員に選ばれた人
 6. 1年以内に裁判員候補者として裁判員選任手続の期日に出席した人
 7. その他、一定のやむを得ない理由(病気・けが・妊娠・冠婚葬祭)があって、裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人
このような場合は、前述の通知書に同封された調査票に辞退の理由を書いて、裁判所に返送する必要があります。

期間中の給料は企業任せ?

裁判員に選ばれたのが企業の従業員であった場合には、裁判員の仕事に必要な休暇を取ることは法律で認められています(労働基準法第7条)。

ただし、その休暇を有給休暇か無給休暇にするかは、各企業の判断に委ねられているのが現状です。法務省は、幅広い国民に参加してほしいという観点から、裁判員に選ばれた従業員が参加しやすくするよう、特別な有給休暇として対応することを各企業に要請しています。無給休暇で裁判員の職務に従事した場合は、労働基準法第39条第8項における「出勤したもの」とは見なされません。

また、裁判員には1日1万円以内、裁判員候補者には1日8000円以内の日当が支払われます。旅費は、日当とは別に支払われます。さらに、地方の裁判所で、遠方にあるために宿泊が必要な人については、宿泊料も支払われます。

この日当というものは、裁判員としての職務を遂行することによる損失(例として、保育料や裁判所に行くために要した諸雑費など)を一定の限度内で弁償したり補償するものです。したがって、日当は裁判員としての勤務の対価(=報酬)ではありませんので、日当と給与の両方を受け取ることは二重取りとは見なされず、問題ありません。

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高野勤一
高野勤一