派遣社員にも懲戒処分を与えることが出来るの? 懲戒処分できる理由と出来ない理由! また知っておくべき職場秩序維持の考え方
2016.02.01
今回は、派遣社員と就業規則の関係について解説します。
結論から言うと、基本的に派遣先の企業が派遣社員に対して懲戒処分をくだせることはできません。原則として、懲戒処分は雇用主と労働者との直接的な雇用関係があって初めて行うことができるものなのです。派遣労働の場合、雇用契約は派遣元の企業と派遣社員との間にありますので、派遣先の企業と派遣社員との間に直接的な雇用関係はありません。
だからと言って、就業規則が適用されないので派遣社員は就業規則を守らなくてもよいというわけではありません。派遣社員は派遣元の就業規則を守る義務がありますし、派遣先の企業は派遣元の就業規則を尊重する義務があります。
万が一、派遣先の企業が派遣社員に対して懲戒処分をくだしてしまったら、最悪の場合、派遣社員が派遣元の企業に訴えて問題が複雑化してしまうおそれがありますので、注意したほうがいいでしょう。
しかし、派遣先の企業でも派遣社員に対して処分をくだすことができる場合があります。
●派遣元の責任による契約不履行
(例)技術が足りない派遣社員の交換を要求した時に、それに応じない。
●遅刻や無断欠勤、情報漏洩などの契約違反行為
この場合、“派遣元の企業と合意した上で”、派遣先の企業は派遣社員との契約を解除することができます。
あまり知られていませんが、協調性のなさを理由とした解雇による裁判の事例は数多くあり、有効性が認められたケースと認められなかったケースが存在します。
その例として、「繁忙期で、同僚の社員全員が業務に忙殺されていたにもかかわらず、積極的に手伝わないどころか、手伝いを頼んでも応じなかった」「同僚の悪口や陰口を言いふらしたり、上司の命令にも従わない」「独善的な業務のせいで他社員との共同作業が行えず、職場の人間関係が回復できない」「業務に対する熱意が感じられない」などが挙げられます。
これらの問題に対する対策としては、就業規則に服務規律の定義をくわしく列挙しておき、従業員が負う企業秩序維持義務を明確に従業員に知らせておくことが必要となります。職場の秩序を保つことができず、企業の秩序が維持できない場合は、前述の通り裁判に持ち込まれるということもしっかり頭に入れておきましょう。みんなが気持ちよく働けてはじめて、会社は機能するものです。職場の秩序を維持するということも、経営者の立派な努めなのです。
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