残業でも限度の時間はある?36協定と36協定を超えた上での労働の手続き!

2015.05.15
はじめに

原則1日8時間週40時間以内の労働時間を労働基準法36条に定められるいわゆる「36協定」を労使間で締結することにより延長することが認められています。しかし36協定は残業時間を無制限に延長する免罪符ではありません。

時間外労働の限度

労使間で36協定を結んでいても以下の基準があります。厚生労働省の告示「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」によれば、1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間、1箇月45時間、2箇月81時間、3箇月120時間、1年間360時間という基準が設けられています。

また時季の業務量で所定労働時間を変える「1年単位の変形労働時間制」では1週間14時間、2週間25時間、4週間40時間、1箇月42時間、2箇月75時間、3箇月110時間、1年間320時間が基準となります。したがって原則的にこの時間が最長時間となります。

いずれの場合にしても1日8時間週40時間だとして、1日平均1時間残業で年間250時間は突破する計算になりますのでご注意ください。

特別条項付36協定

限度についての原則は上記ですが、特別条項付36協定というものも存在します。「36協定の延長限度時間に関する基準(平成 10 年労働省告示第 154 号)」によるとこれは臨時的に上記の限度時間を超える場合について36協定内で事前に定めておくことができるものです。

これには以下の要件があります。

(1) 限度時間を超えて働かせる一定の期間(1日を超え3か月以内の期間、1年間)ごとに、割増賃金率を定めること

(2) (1)の率を法定割増賃金率(2 割 5 分以上)を超える率とするよう努めること

(3) そもそも延長することができる時間数を短くするよう努めること

となっていますが、例として以下の記述があります。

(例)「一定期間における延長時間は、1 か月 45 時間とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、6回を限度として、1か月60時間までこれを延長することができる。なお、延長時間が 1 か月 45 時間を超えた場合の割増賃金率は 30%とする。」

特例の事情

「特例の事情」は臨時的なものに限られるとされます。この例として以下をあげています。

〈臨時的と認められるもの〉
●予算、決算業務 
●ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
●納期のひっ迫
●大規模なクレームへの対応
●機械のトラブルへの対応

〈臨時的と認められないもの〉
●(特に事由を限定せず)業務の都合上必要なとき
●(特に事由を限定せず)業務上やむを得ないとき
●(特に事由を限定せず)業務繁忙なとき
●使用者が必要と認めるとき
●年間を通じて適用されることが明らかな事由

このようにガイドラインがはっきり定義されていますのでこれに違反した労働をさせると最悪の場合書類送検されることもありますのでご留意ください。

まとめ

残業を命じるためには36協定の締結が必要です。臨時的に36協定を超える残業が必要な場合は特別条項付36協定を結ぶ必要があります。

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