賃金の支払いは一番の肝!賃金の支払いに関わる法律まとめました!

2015.12.28
「賃金」の定義を説明できますか?

みなさんが普段当たり前のように受け取っている「賃金」であるが、人事などこれを支払う立場になると「賃金」に関して何も分からないということは許されなくなる。「賃金」の支払いには労働基準法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法などさまざまな法令を理解する必要があるが、ここでは「賃金」支払いの軸となる定義と、それに関わる最重要な法律を紹介する。

労働契約法6条によると「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」とあり、賃金は労働の対価といえることがわかる。

これはつまり、労働契約を行った使用者は労働者に対して賃金を支払う義務があるということだ。また、労働基準法24条では、賃金に関する原則(後に説明する、いわゆる”賃金支払い5原則”)が定められている。正しく賃金が支払われず労働者が訴えを起こした場合、使用者は労働基準監督署からの指導や刑事罰を課せられることがある。

賃金支払い5原則

先ほど取り上げた賃金の支払い5原則について詳しく見ていこう。
1.通貨払いの原則
外国通貨や商品で支払うことはできない。小切手もNGである。

2.直接払いの原則
賃金は直接労働者に支払われなければならない。未成年などであっても、代理人や親権者に支払うことは許されていない。

3.全額払いの原則
賃金は例外を除いて、全額を支払う必要があるので、使用者の都合で勝手に控除を行ってはいけない。例外となるのは、法令で定められた社会保険料・所得税・住民税と、労使協定が締結されている場合社宅費や労働組合費などは差し引いてもよい。

4.毎月1回以上払いの原則
賃金は毎月1回以上支払わなければ行けないので、仮に年俸制であっても毎月分割額を支払う必要がある。

5.一定期日払いの原則
賃金は一定期日(「毎月15日」や「月末日」など)に支払う必要がある。一定期日とは、支払いが一定の周期に行われることが目的なので、「毎月第3金曜日」といったように周期が毎月変動するような支払日にすることは禁止されている。

最低賃金制度とは

最低賃金制度とは最低賃金法により賃金の最低額を定め、それ以上の賃金を労働者に保障する制度のことだ。働く全ての人が対象になり、最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2つあるということを確認しておこう。

「地域別最低賃金」とは、47都道府県ごとに決まっている最低賃金である。厚生労働省のHPには常時新しい情報が更新がされるので注意をしたい。「特定最低賃金」とは、仕事の種類によって決まっている最低賃金のことだ。一つの仕事で、例えば地域別最低賃金が769円で特別最低賃金が809円といったように、両方が規定されている場合最低賃金の高い時給809円を採用することになっている。

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高野勤一
高野勤一