契約社員の契約期間は?また契約期間に例外はあるの?

2015.04.25
はじめに

有期雇用契約の社員はもちろん契約期間があり、そのことが社員にとっても会社にとっても大きな関心事だと思います。平成24(2012年)年8月10日公布の改正労働契約法では契約社員(パート、アルバイト、嘱託を含む)に比較的有利に改正されています。

無期雇用への転換

同じところに有期雇用でお勤めの場合何度か契約更新をされていると思います。契約期間が通算5年を超える契約更新をする時点で「無期雇用への転換」を社員側から申し出ることができるようになりました。

また契約条件などは通常有期雇用と同じになりますが、就業規則などで定められていればそれに従うことになります。また申し込みをされると使用者は承諾したものとみなされ無期雇用が成立します。

これは口頭で申し込んでも有効となりますので使用者の方はご注意ください。社員側もトラブルを避けるために文書をもって申し入れるようにした方がよいでしょう。

通算期間の算出

過去どれだけ長く有期契約で勤めていても、通算期間のカウントは平成25年(2013年)4月1日以降に開始する契約からになります。また、期間中6か月以上の無契約期間があればそれ以前の契約期間はカウントされませんのでご注意ください。

最低契約期間は直接雇用の場合設定が特段あるわけではありませんが、短くて1か月というケースが多いと思います。平均でどの程度の雇用契約の期間なのかはわかりませんが、最長の契約期間は通常3年で例外として高度な専門知識を必要とする場合や60歳以上の場合は最長5年となることは法律で定められています。

ですから一概に契約何回ということはできませんが、契約更新時、次の契約満了時に5年を超過する場合は今までの契約が5年以内であっても申し込み可能ですのでご留意ください。

雇止め

使用者が契約更新を拒否し契約満了し退職となることを「雇止め」といいます。下記の場合その「雇止め」が無効化される条文も付け加えられています。

1.過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの

2.労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

上記で「雇止め」には合理的な理由が必要だとご理解いただけると思います。たとえば「有期事業」のように事業自体が有期で解消される場合は合理的な理由と考えられます。

使用者は有期雇用契約を結ぶ前にある程度見通しをもって臨む必要があると考えます。また無期雇用転換の申し込みが無い場合はこれらは適応されませんが、無期雇用転換をしないこと雇用契約に盛り込めないですのでご注意ください。

無期雇用転換申込者の解雇

上記のような無期雇用転換申込者の解雇の場合「無期労働契約の解雇」として対応する必要があります。つまり正社員の会社都合退職となる可能性があります。そうなれば正社員にのみついていた手当がつき、失業保険の算定基準が上がる可能性があります。また会社への助成金の受給資格を失う可能性もあります。

実際の運用では

この記事の執筆時点ではこの改正法がスタートしてまだ2年ですので、裁判などの目立った動きがあるわけではなく、どのように運用されていくかはまだ不明な点が多いです。

特にこの法律自体が民法の範疇ですので訴訟と判決が無いと何ともいえない面が大きいです。しかし会社(営利企業)は最低の経費で最高の利益を生み出すことを目的の一つとしている以上人件費にかかわるこの部分に何らかの対応を考えているでしょう。それを今後も注視する必要があると考えます。

まとめ

有期雇用契約が通算5年以上で無期雇用に実質転換する必要があります。雇止めには合理的理由が必要となります。無期雇用転換申し込みは文書で行うようにしましょう。

記事をシェアする

kakimoto