社員が二重就業!そんなときどうしますか?二重就業の基準とは?

2015.12.02
二重就業の基準

リーマン・ショックの影響などで、働きながらも貧しい生活を送ることを余儀なくされている人々もいる。このような人たちの中には、本業の他に副業で生計を立てている人もいる。二重就業が原因で裁判に発展した、ということを耳にすることもあるが、二重就業はいけないことなのだろうか。もし二重就業が禁止されているなら、その理由は何なのであろう。

労働者は、就業時間以外は自由な時間でなくてはならないため、就業規則で兼業・二重就業を全面的に禁止することはしてはならないとされている。

しかし、深夜の長時間労働を副業として行えば肉体的にも精神的にも疲弊し、当然本業に業務の支障をきたす可能性もある。そうなれば、会社側も制限を加えないわけにはいかない。二重就業によって、会社に対する労務提供に支障をきたしたり、会社の社会的信用を損なう可能性があるときには、「会社の許可」を得てから行うようにする旨を就業規則の規定として設けることは不当ではないと定義されている。

二重就業の禁止は、法律によってではなく就業規則によって制限され、多くの企業はこの制限を就業規則に加えている。

二重就業の罰則とは

就業規則に二重就業の許可制の定めがあった場合、会社に対する労務提供に支障をきたしたり、会社の社会的信用・体裁に関わるような問題を引き起こす可能性があったり、機密情報の漏えいにつながる恐れのある副業を行っている労働者は、就業規約違反になる。

就業規則違反は懲戒処分の対象になる。建設会社の社員がキャバレーの会計係をしていたという小川建設事件では、企業の対外的信用・体裁が傷つけられる可能性があるとして就業規則で二重就業を制限することは合理的と判決が下り、普通解雇になったというケースもある。

秘密にしてもバレるの?

副業の個人事業として、開業届を税務署に届け出を行い、副業分をきちんと確定申告して自分で納税すれば会社に知られることはない。しかし、この作業はとても大変である。

一方、副業を別の会社で行うことは不可能だ。年間の給与額は各市町村へ届けられるので、本業の会社に収入が増えていることがばれるためだ。これ以外にも、本業中に副業でトラブルが起きるリスクや、会社に発覚して懲戒処分を受けるリスクを考えれば、安直な考えで二重就業はしないほうがいいだろう。

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高野勤一
高野勤一