派遣社員の契約はどうなっているの?知っておくべき契約とは?

2015.04.24
はじめに

有期雇用で比較的専門性、時給も高く自由度も高い「派遣社員」の立場を好んでいる方もいると思います。しかし、生活給を確保という観点からみると安定性を欠いた立場なのかもしれません。その派遣契約の内容とはどのようになっているのでしょうか。

派遣契約の概要

労働者派遣法に基づく労働者派遣事業関係業務取扱要領では契約事項について定められています。恒常的に労働派遣をする場合、派遣会社と派遣先企業の間で基本契約を締結し個別の案件ごとに個別契約を結ぶことが通例です。

派遣労働契約という場合後者の個別契約を指します。その中には業務の内容、働く場所、直接指揮命令する者、派遣の期間・派遣就業をする日、業務の開始時間・終了時間・休憩時間など12項目が定められています。

この中の主だったものを取り上げてみたいと思います。

契約内容ので注意すべき点

「業務の内容」については業務に必要な能力、行う業務等が具体的にできる限り詳細に記載されていることが求められます。また同一の派遣社員が複数いる場合はそれぞれの業務内容についての記載も必要です。

「働く場所」についてはその名称、住所だけではなく具体的な就業場所の記載も求められます。

「直接指揮命令する者」は具体的に部署・役職・氏名の記載が必要です。

「派遣の期間・派遣就業をする日」については具体的な年月日を記載する必要があります。また通算派遣期間の上限は同一就業場所、同一業務で一般の場合3年ですが、専門26業務には制限がありません。

「業務の開始時間・終了時間・休憩時間」については法律では時間のみが規定されていますが、時刻を特定することが望ましいとなっています。

また、「労働者派遣契約の解除の事前の申入れ」、 「派遣先における就業機会の確保」などがあり、派遣先の理由により契約期間満了前に契約解除する場合、休業による損害賠償を行わなければならないとの規定もあります。

使用者は一度「労働者派遣事業関係業務取扱要領」を熟読してみる必要があると考えます。この中には契約書の参考例もあります。

派遣契約の今後

現在政府では上記の専門26業務の撤廃などを含む法改正の準備がされています。今までの法改正による法律内容の変更は派遣労働者の正社員化を意図したもので、この傾向は今後も変わらないのではないかと考えます。

平成24年(2012年)の労働者派遣法改正で「労働契約申込みなし制度」が盛り込まれ、平成27年(2015年)10月1日より実施となります。これでは派遣先で重大な違法派遣が認められる場合、は労働者側からの意思表示がなくても正社員化しなければならないとが法制化されています。

今後も法改正については使用者も労働者も注視する必要があります。

まとめ

派遣労働契約にあたっては様々な細かい記載事項が必要となります。「労働契約申込みなし制度」は2015年10月より実施されます。今後も法改正が予定され動向を注視する必要があります。

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