懲戒処分にもいくつか種類がある?当てはまることありますか?懲戒処分による罰則一覧

2015.11.25
懲戒処分の種類

懲戒処分と聞くと、ストレートに懲戒解雇をイメージするのではないだろうか。しかし、実際には懲戒処分にはいくつかの種類があって、不祥事の程度によって処分の重さが違ってくる。今回は、処分の軽い順番に羅列しよう。

・戒告/譴責
戒告と譴責はほぼ同様の処分で、懲戒処分のなかでは一番軽いものである。戒告は口頭での注意に留まり、譴責では授業員に始末書を提出させる。将来的に、大きな問題になることを食い止めるための注意という役割をもつのがこの処分だ。

・減給
減給処分になった者は、給料を減らされることになる。しかし、会社の決めた分だけ減給できるわけではなく、減給は1日の(平均)賃金の半額、月給制であれば1ヶ月分の賃金の10%までという上限が労働基準法によって定められている。

・出勤停止(停職)
出勤を禁止される「出勤停止」は、当然のことながら休日や休暇と違って給料は支払われない。しかし、給料が支払われないことは給料を差し引くこと(減給)とは違うので、支払われない給料に対して、労働者を保護するような法律は存在しない。よって、1ヶ月の賃金が10%以上減ろうが、使用者は違法にならない。

・降格
降格とは、職位を下げる処分のことだ。ほとんどの会社では、職位が上がれば給料も上がるようになっているので、降格は同時に給料が減ることを意味する。

・諭旨退職
諭旨退職とは、処分対象者に勧告して退職を迫ることをいう。諭旨退職を無視すると懲戒解雇になる。会社を離れなければいけないという点では懲戒解雇と変わらないが、懲戒解雇の方が何かとデメリットが大きい。そのデメリットは次で紹介しよう。

・懲戒解雇
懲戒解雇は、懲戒処分の中では一番重い処分だ。再就職の際に「懲戒解雇を受けた」との旨を告げなくてはいけない、という面で諭旨退職よりも重い処分ということになる。それだけでなく、一般的な解雇とは異なり、事前の解雇予告や解雇予告手当の支払いが不要になり、退職金も一部しか支払われないか全く支払われないケースもある。ちなみに、公務員が懲戒解雇させられることを「懲戒免職」という。

懲戒処分の対処法

懲戒処分を下すためには、いくつかのルールがあり、これを満たさない処分は無効になる。労働者が懲戒処分の対象になりそうな場合、どうすればよいのだろうか。ルールの一つに、「罪刑法定主義の原則」というのがある。これは、懲戒の根拠が必要だということを意味する。

重要なのは、懲戒処分は就業規則に記載される懲戒規定を基準にするので、従業員が10人未満で就業規則の作成義務がなくても、就業規則は作っておいた方がよいだろう。

他にも、懲戒処分に関して前例に同様もしくは類似したケースがあればそれと平等に取り扱わなくてはならない「平等取扱の原則」や、一度判決が下された罪を二重に処罰できない「一事不再理」、処分の重さは客観的に決めるべきだという「相当性の原則」、規則が作られる前の事犯をさかのぼって罰則を与えることはできない「遡及処分の禁止」というルールがあり、これらの有効要件を満たすのが懲戒処分の前提となる。

これらを満たさなければ処分は無効になるので使用者は当然気をつけるべきであろう。また、もし不当に懲戒処分を受けたと思ったら、この有効要件を確認してみよう。

記事をシェアする

高野勤一
高野勤一