人事考課によって待遇が変わる?知っておくべき考課内容3つ

2015.11.12
人事考課の目的

組織が存続し、発展していくためには正当に部下を評価するシステムはなくてはならない。また時には、仕事の出来・不出来によって賞罰をあたえることもあるが、評価を伝えるだけではなく原因や対策を部下と一緒に考えることのできる上司が”いい上司”なのである。

現在日本企業は、数十年前とは異なり成果主義的な考え方を持つようになった。人事考課がダイレクトに給与や処遇に結びつく可能性が高くなったため、若手社員はより評価を気にするようになった。

前期よりも上司から認められるようになり、目標も達成できようになった自信があったのに以前と同じ評価をされたり、同じ項目であるマネージャーはA評価だが違うマネージャーはC評価、といった判断基準のバラツキは、若手社員の上司に対する反感や不信感の大きな要因になる。

人事考課は、職務等級によって定められた基準に即して判断される絶対考課である。「あの人よりもこの人がデキるからA評価」というのではなく、「この基準をクリアしているからA評価」と考課するのだ。きちんと基準を定義し、絶対的基準で考課することが公平な評価につながるのだ。

人事考課の3種類

・成績考課
「やることをきちんとやれたか」を評価するのが成績考課で、具体的には仕事の質・量・難易度・達成度をみる。成績考課はあくまでも”対象期間内”で出した”結果”を評価するので、上司のアドバイスがあったからといってその分を評価しなかったり、勤務時間外の仕事を評価したりはしない。

・能力考課
「等級にふさわしい能力を発揮できたか」を評価するのが能力考課である。能力には業務内容に関して事前に学習できる習得能力と、現場の実践を通じて身につけることができる習熟能力がある。

また、能力考課においては、「中間項」を考慮する必要がある。外部要因や内部要因、本人要因によって能力はあっても成績に結びつかないことがある。外部要因は天災や気候、為替や同業他社などの要因、内部要因は上司の指示や管理体制など社内の要因、本人要因は本人の体調や意欲の要因を示す。

・情意考課
「どれだけ仕事を頑張っているか」を評価するのが情意考課である。どれだけ成績を出せても、仕事に対する意欲が低くては職場の雰囲気に悪影響をもたらす。逆に成績は残せなかったものの、ひたむきに仕事をした人に対しては、そのプロセスを評価してあげることでモチベーションの確保につなげるのだ。

やってはならない人事考課

・イメージ考課
「彼はキレ者だから能力も高いはずだ」と事実に基づかないイメージで判断してしまうエラー考課のことだ。事実に基づいた評価を行うことで防止できる。

・ハロー効果
「彼は社内一のハンサムだし、コミュニケーション力にも長けているから折衝力もあるだろう」とその人の見た目やイメージで1つの長所や短所に引きずられて、ほかの要素の判断をしてしまうことをハロー効果とよぶ。

このようなエラー効果に十分気をつけ、明確な基準から公平な人事考課を行いたい。

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高野勤一
高野勤一