少子高齢化の今知っておくべき!高年齢者法とは?

2015.11.11
高年齢者雇用安定法ってなに?

「高年齢者雇用安定法」とは、高年齢の人が安定した収入が得られるよう、雇用の確保の促進を目的にした法律である。少子高齢化が急速に進む現在、この法律によってあらゆる人の雇用環境を整備し、全員参加型社会の実現を目指している。

この法律では、平成16年の改正によって次のいずれかの措置を行うことを義務づけている。
・定年の引き上げ
・「継続雇用制度」の導入(以前まで認可されていた、労使協定により基準を定めた場合、希望者全員を対象としない制度は平成25年から廃止された)
・定年制の廃止

平成25年からの法律改正によって、「継続雇用制度」の一部変更や対象企業の拡大、この法律に違反する企業の名前を公表するという規定、事業主に対して高年齢者雇用確保に関する指針を設けた。

継続雇用制度とは

では、先ほどから幾度か登場する「継続雇用制度」について紹介しよう。継続雇用制度とは、もともと雇用していた高年齢者を、定年した後も意欲と能力に応じて引き続き雇用するという制度だ。定年後も継続して雇用する”勤務延長制度”と、退職後に再び雇用する”再雇用制度”がある。

平成25年から、継続雇用制度の対象者を限定する基準を設けることができなくなったので、その経過措置として老齢厚生年金の受給開始年齢に達した者を対象に、12年間は引き続きこの基準を適用することができることとなった。

これってどうなの、高年齢者法?

・継続雇用制度を導入していなければ、60歳定年による退職は無効になる?
高年齢者雇用安定法は、高年齢者の労働者に対して雇用確保措置を講じることを義務づけた法律である。よって、労働者を65歳まで雇用しなければならないといった義務を課す法律ではないので、直ちに無効になることはない。

しかし、継続雇用制度を導入していないことは高年齢者雇用安定法違反につながるので、公共職業安定所を通じ、実態の調査や助言、指導、勧告、企業名の公表の対象になってしまうことを忘れてはならない。

・労働者に選択をさせるとき、継続雇用制度を導入したことになるの?
例えば、55歳の時点で「いままでと同じ条件で60歳定年で退職」するか、「65歳を上限とし1年ごとに更新する有期労働契約に変更(今後、労働条件の変更も認める)」するという2択を労働者に自由に選ばせることにした場合、継続雇用制度を導入したことにはなるのだろうか。

答えは、導入したことになる、である。重要なのは、労働者の意志があれば継続して65歳まで働き続けることができるという制度を、企業が導入することだ。

これまで説明してきたように、高年齢者雇用確保のための措置が勧告を受けても改善が見込まれない企業に対しては、厚生労働大臣により公表されてしまう可能性があるので、十分に注意をする必要がありそうだ。

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高野勤一
高野勤一