義務化された男性の育休、どう変化した?

2023.09.19

2022年の改正によって、男性育休が義務化されたことを知らない方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、義務化された男性の育休によって、どのように制度が変化したかを解説します。また、育休を取得するメリット・デメリットも紹介しているため、これから取得を考えている方は参考にしてみてください。

2022年の改正内容

育児休業の改正が2022年にいくつか行われました。男性の育休促進と、柔軟な育児休暇が設定されたことで、改正された育休を活用して子育ての支援に繋げられます。それぞれの内容を解説します。

男性育児休業の義務化

育休制度の義務化は、企業から従業員への育休制度の説明と促進を法的に義務付けるものです。これにより、これまでは企業の努力範囲に委ねられていた育休制度の推進が、法的な要請として位置付けられました。

具体的には、企業は男性従業員に対して育休制度の詳細な説明を行う義務が生じ、取得の意思確認もしなければなりません。

これにより男性従業員にとって育休の存在や取得の方法が明確になり、育休を利用する機会が増えるでしょう。

育児休業の分割取得

2022年10月1日から施行される育児休業制度の改正により、育児休業をより柔軟に取得できるようになりました。

これまでの制度では育児休業は1度のみ取得が可能で、また、休業期間の初日は厳格に決まっていましたが、改正によっていくつかの変更があります。

まず、改正により育児休業を2回まで分割して取得できるようになりました。これは、育児の必要に応じて段階的に育児休業を活用できることを意味します。これにより、仕事と育児の両立がしやすくなるでしょう。

また、保育所に入れないなどの理由で延長する場合も、育児休業の開始日を柔軟に決められるようになりました。これまでは1歳以降の延長では、開始日が各期間の初日に限定されていました。

この制度が改正によって各期間の途中でも取得可能となり、育児状況に合わせた調整が可能になっています。開始日が柔軟になったことで、夫婦で交代しながら育休を取得できるようになった点も注目です。

産後パパ育休

産後パパ育休制度は、男性が子供が生まれた直後の期間に育児休業を取得するための制度です。まず、制度では産後8週以内に28日間を2回に分けて休業を取得できます。

この休暇は、子供の出生後、特に出生直後の大切な時期に父親が積極的に子育てに参加できるように設定されています。この28日間は育児休暇とは別に取得可能であり、パパが子供の世話やサポートをするための時間を確保することを支援します。

この制度は男性の育休促進を目的としており、特に出生直後の時期を対象としています。父親が早い段階から子供との絆を築き、家庭内での育児負担を分かち合うことを奨励し、男性の育児参加を促進する役割を果たすでしょう。

これにより、家庭と仕事の両立を支援し、育児での男女平等を推進する一環として位置付けられています。

男性育休のメリット

男性育休のメリットとして、男性が育休を取得することで夫婦で子育てを協力しやすくなることが挙げられるでしょう。共同で育児をすることは子供にとっても良い影響を与え、家庭内の絆を深めます。

また、妻の負担が減ることで、妻の職場復帰を早められる可能性があります。そのため、妻は育児と仕事を両立しやすくなり、キャリア形成がしやすくなります。

企業側は助成金を受けられるメリットもあります。男性の育休を従業員に取得させた場合、企業は政府からの助成金を受けられます。

また、企業側のもう1つのメリットとして、職場環境の改善とイメージアップも挙げられるでしょう。従業員が育休を取得しやすい職場環境は、企業の社会的責任を示すものとして評価され、企業のイメージアップにつながります。

男性育休のデメリット

男性育休のメリットと同時に、デメリットも考慮すべきです。大きなデメリットとして、仕事への影響が懸念されることが挙げられるでしょう。

男性が育休を取得すると担当していた仕事に長期間穴をあけることになるため、同僚やチームに負担をかける可能性があります。

また、一部の職場では男性育休に対する理解が不足しており、育休を取得したことが将来のキャリアに悪影響を与えることがあるかもしれません。理解があったとしても、長期離脱によって業務スキルの衰えや市場価値の低下を招く可能性があります。

男性育休を取得する従業員に対する不当な扱いは法的に禁じられていますが、長期間仕事に復帰しないことによるデメリットは避けがたいです。

育休を取得する前に業務の引継ぎを的確に行い、育休を踏まえたキャリアプランを計画しておくことが重要となるでしょう。

まとめ

今回の記事では、義務化された男性の育休がどのように変化したかを解説しました。2022年から、企業側による従業員に対する男性育休の説明と促進が義務付けられています。

また、育児休業の分割取得と産後パパ育休制度によって、これまで以上に柔軟に育休を取得できる環境が整いつつあります。

男性が育休を取得することで、出産直後から子育てを夫婦で協力し合えることがメリットとなるでしょう。ただし、長期的に仕事を離脱することがデメリットとなるため、対策を取った上で育休を取得することが大切になります。

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高野勤一
高野勤一