賃金の支払い方法ってなぜほとんど銀行振込なのか
2015.10.30
賃金の支払い方法には法律で決められたものがあります。労働基準法第24条に置いて(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないとしています。これを賃金支払の5原則といいます。
現在、従業員に個別の同意を得ることで給与の振込は一般的に銀行振込となっています。従業員に個別の同意を得るのは、賃金支払の5原則では通貨で直接労働者に支払わなければいけないことになっており違法という考え方があるからです。
今の日本では、退職金に関しては従業員に個別の同意を得ることができるならば、銀行振出小切手、銀行支払保証小切手、郵便為替の支払いも可能となっていますが、これは退職金に関しての支払いであって、一般的に給与支払いは銀行振込が主流です。
従業員側でも賃金支払の5原則を把握していないとトラブルになる可能性があります。一つ例を示します。ある女性が一身上の都合により働いていたところを退職しました。退職後、働いていた時の給料を銀行に確認しに行ったところ支払われていませんでした。
そこで支払われていないことを企業に伝えて、銀行口座に支払ってほしいとお願いをしたところ、直接取りに来て欲しいということになりました。この人は取りに行かなければもらえないことを不服として、適材の機関に問い合わせをしたところ企業側の言っている通り、取りに行かなければいけないと言われてしまいました。
この人は賃金支払の5原則の、通貨で直接労働者に支払わなければいけないことを把握していなかったので、このようなことが起こってしまいました。
アメリカなどは安全上の理由などもあり、企業振出の小切手で給与の支払っているところが大半です。小切手が入っている封筒が手渡され、従業員自身の預金口座を持つ銀行に取り立てを依頼しにいき、給与の現金化をしてもらいます。このため小切手を受け取ってから銀行に持参するまでの間、紛失の危険や時間的遅れが生じています。
日本では法律で決められている通り、従業員の同意があれば銀行口座での支払いが可能となっています。なので日本国内では給与支払いは銀行口座か通貨、少ない事例ではありますが証券口座となっています。
手形や小切手などの有価証券などの給与支払いとして可能かどうかありますが、これは通貨支払いの5原則に違反します。
一般的に有価証券は現金代替物としての性質を有しているため決算手段として利用はされています。しかし証券であって通貨そのものとは異なりますし、従業員に換価の不便ももたらすことになります。
賃金とは労働基準法第11条で、労働の対価として使用者が労働者に支払うすべてのものです。残業代、休日手当、深夜手当等の割増賃金も含まれています。他にも基本給とは別途で支給される手当や賞与・ボーナス、退職金も賃金にあたります。
よく従業員と企業間で問題になることが未払い金の支払いについてあります。これは賃金に含まれているものか、それとも単なる恩給的な給付に過ぎないものであるのかで問題となります。もしも給付に過ぎないのであれば、従業員の裁量によって支払わなくてもよいいです。これを「賃金該当性」の問題といいます。
このように賃金には厳格な決まりがありながら賃金該当性という考えもあります。働くことになったら、まずは賃金支払の5原則を理解することから始め労働基準法を学び安心して働き、妥当な賃金を頂くようにしたい。
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