初めて就業規則を作るときは何を参考にすればいい?就業規則のフォーマットとテンプレート

2015.10.30
いい就業規則とわるい就業規則

就業規則にはいい就業規則とわるい就業規則がある。就業規則とは、労使間のトラブルを未然に防ぐ際や、トラブルが発生した際に”使用者”の身を守る盾となるものになる。一度決めたらなかなか簡単には変更できないということもあり、後々になって後悔することのないよう、就業規則は慎重に作成したい。

悪い就業規則は、就業規則のテンプレートや、同業他社・親会社の就業規則に少し手を加えたものである。特にネット上で出回っている就業規則は、法律上無難な書き方をするばかりに、実際は書かなくても良いような規定まで乗ってしまっているケースがよくある。就業規則を作成する際に法律の遵守は必要不可欠であるが、その法律を遙かに上回って「書かなくてもよいこと」を記載することで、会社が損をしてしまう可能性をはらんでいることに留意しておきたい。

一方、良い就業規則の作成には社長が積極的に関わっているほうがいい。なぜなら、就業規則というのは従業員に「会社の経営理念を伝える」ツールであるからだ。就業規則はあれば良いのではなく、従業員に正しく理解をされ、実際に守られてはじめて存在意義を有することになる。そのためには、就業規則を正しく伝えることを目的にした説明会の開催も有効かもしれない。

また、就業規則フォーマットをコピペして使用することをおすすめしない理由に、強制するような口調であったりネガティブな表現が多く含まれているからだ。たとえば、「年次有給休暇を受けようとする者は、前日までに申し出なければならない」→「従業員は、前日までに申し出た上で、年次有給休暇を取得できる」という文章に変えるだけで、就業規則が読みやすくなったのではないだろうか。このような細やかな配慮も、会社にとっては必要なことであろう。

就業規則に書くべきもの

就業規則は社長から社員へメッセージを伝える助けになるという話をしてきたが、労働基準法によって定められた、絶対に記載しないとならない項目(絶対的必要記載事項)というものがある。
・労働時間
始業時刻、就業時刻、休憩時間や休日・休暇について
・賃金
給料の決定、計算方法、支払い時期・方法、賃金の締め切りや昇給に関して
・退職
解雇の理由も含めた、退職に関して

また、設ける制度によっては記載が必要になる項目(相対的必要記載事項)もある。
・退職手当
・臨時の賃金
・労働者の食費や作業用品の負担
・安全衛生
・職業訓練
・災害補償や業務外の傷病扶助
・表彰および制裁の種類

就業規則をつくる際の注意点

参考様式を真似て作られた就業規則がトラブルにつながってしまう危険性があるのは、所々を改変することによって一貫性のない就業規則になってしまうからである。例えば、臨時の賃金に関する項目の条文で「社員は」と書かれており、作成者は”正社員”だと思い込んで記載したのに”アルバイト”にも退職金がでるはずとして裁判になった、なんてこともあるのだ。

このようなトラブルにつながってしまう前に、規則の適用範囲は特に注意しておく必要がある。その前に、社会保険労務士や就業規則を専門にしている事務所に相談するのも手ではないだろうか。

記事をシェアする

高野勤一
高野勤一