労働における罰則一覧

2015.10.21
「遅刻10分で罰金1000円」の罰則は違法?

会社によっては、遅刻や書類ミスなどに厳しい罰金制度を設けているところもある。しかし、こうした処分はどこまでが適切なのだろうか。

実は、賃金は厳しく法律で定められており、世の中で行われている”罰金制度”の多くは違法であるとされている。そもそも罰金とは刑罰の一種で、罰金の支払いを命じることができるのは国家しかいない。つまり、遅刻などで罰金が課される場合は、「減給」とみなされる。

しかし、減給も「ノーワーク・ノーペイ」の原則の上に成り立っており、働かなかった分の賃金しか減給をすることはできない。1日無断欠席をしたからといって、2日分の給料を天引きするのは違法なのだ。

さらに、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額の10分の1を超えてはいけないと労働基準法で定められている。この計算でいけば、月給20万円で平均日収が1万円の労働者の場合、1日に減給できるのは半額の5000円までで、1ヶ月では月給の10%である2万円までだ。つまり、仮にひと月に10日間遅刻したとしても、最高で2万円までしか賃金控除は認められない。減給によって労働者に更正を促すことは、制裁の効果があまり期待できないため、望ましくないのである。

始末書は絶対に出さないとダメ?

始末書の提出を命じられたのにもかかわらず対応を怠った場合、これが直接的理由になって罰則を受けたりすることはあるのだろうか。労働法をはじめとする法律では、「始末書」に関する事柄は規定されていないのだ。

つまり、始末書の提出は原則として個人の自由になるのだ。ちなみに始末書は、次のような内容を含めることが望ましい。
・不祥事が発生した日時、内容、経緯(原因)
・謝罪、反省
・再発防止策

ただし、報告などを目的とする始末書を提出しなかったことで、そのこと自体が労働契約上の義務に違反する場合が問題である。すなわち、不祥事とされる事実の報告は必要か否かは慎重に考える必要がある。

休憩時間について

労働基準法では、使用者は労働者の労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合には60分の休憩時間を、途中で与えなくてはならないということが定められている。休憩時間は、出勤の直後や退勤の直前ではいけない。

また、業種の都合で認められる以外は、原則として一斉に休憩時間を設けなくてはならず、休憩時間は自由に使えるものでなくてはならないと定められている。これを守らない使用者は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が処せられることになっている。

よって、休憩時間中にゲームを禁じたり、外出を制限することは原則として認められているのだ。ただし、会社が所有するパソコンでオンラインゲームをして、ウイルスに感染してしまう可能性があるということを理由にしたり、会社の作業服を着用したままでの外出を禁止する程度のことは問題ではないだろう。

いずれにせよ、罰則を与えるときも、また罰則を受けないためにも、使用者や労働者は法律を遵守することがもっとも重要と言えるだろう。

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高野勤一
高野勤一