休日出勤がもたらす悪影響について【体調悪化やうつ病も・・・】

2021.09.18

「休日出勤が続いて…」と話すと、「会社のために一生懸命働いてえらいね」と褒められ、ときには必死に歯を食いしばって働く姿勢に美学を感じる人もいるようです。

しかし、過度な休日出勤は身体的に大きな負担となり、メンタル面にも悪影響を及ぼします。休日出勤が続き、身も心も疲れ切った姿に美学などはありません。

今回は休日出勤が与える悪影響について、考えてみましょう。

休日出勤とは?

休日出勤とは、労働契約上で労働義務のない日に出勤することをいいます。

ただし、「休日」には「法定休日」と「法定外休日」の2種類があり、定義が異なります。まずは、自分の休日出勤が違法ではないかをチェックしてみましょう。

・法定休日の出勤
法定休日の出勤とは、会社は労働者に与えなければならないとされている「週に1日以上、もしくは4週に4日以上の休日」に出勤させることです。

法定休日の出勤は基本的に「違法」となります。しかし、会社と労働者の間で「36(サブロク)協定」を結ぶことで、法定休日に出勤をすることが可能になります。なお、法定休日出勤をした場合は、通常賃金の1.35倍にあたる「休日手当」が発生します。

・法定外休日の出勤
法定外休日の出勤は、労働基準法では定められていない「会社が独自に決めた休日」に出勤させることです。

1週間のうち休日が2日ある会社の場合、1日が法定休日、もう1日が法定外休日になります。

1日の就業時間を8時間としている場合に、休日出勤をすると週40時間を超えて労働することになり、通常賃金の1.25倍の割増賃金(残業代)が発生します。労働時間が週40時間を越える場合も、会社と労働者の間で「36協定」を結ばなければいけません。

休日出勤が身体に与える悪影響

・食生活の乱れ
忙しさのあまり、料理を作る時間を確保できないどころか、食事の時間すらとれなくなることで、ファーストフードやカップラーメンなどで食事を済ませてしまう機会が増えます。また、過労により食欲不振に陥ると、必要な栄養を摂取することができません。体も頭も働かなくなり、常に体がだるくボーっとする、正しい判断ができないといった悪影響が発生します。

・体調悪化
休日出勤が続くと、自分では気づかないうちに、身体的疲労が蓄積されていきます。めまいを起こす、頭痛がする、食欲がないといった症状が現れます。このような症状を感じつつも、さらに長期にわたり休日出勤を続けると、くも膜下出血や急性心不全など命に関わる病気を発症させ、最悪の場合は死に至るケースもあります。

食欲不振や体調悪化を「疲れているから」「ストレスが溜まっているから」という言い訳にせず、体を休めて、あまりにも症状がひどいときは医療機関を受診することも重要です。

休日出勤がメンタル面に与える悪影響

・うつ病になる
「ぐっすりと眠れない」「常に気分が憂鬱」などの症状があらるなら、うつ病の初期症状であることも考えられます。「死にたいと思う」「もうだめかも知れない」と頻繁に感じ始めたら、もはや自分では正しい判断ができなくなっている恐れがあります。このようなときは、一刻も早い周囲のサポートが必要です。

・プライベートの時間が減少する
休日に知人や恋人と会えなくなるので、人間関係に悪影響を及ぼします。家族がいる人は、配偶者や子ども、両親との時間を持てなくなり、状況によっては家庭崩壊へと導かれてしまいます。人間関係が悪化することで孤独感や疎外感が増し、さらに精神的なダメージを受けやすくなります。

・作業効率が低下する
睡眠不足や不規則な食生活により、脳が活性化されず作業効率が低下します。仕事が思ったように進まず、どんどん溜まっていくことで、さらに残業や休日出勤が増えるといった悪循環を生み出してしまいます。

身体的な疲労は、体を休めたり医療の力に頼ったりすることで短期間の回復が望めます。しかし、メンタル面への悪影響は、自分が思うよりもダメージが大きく、回復には長い時間を要することもあります。自分なりにリフレッシュする方法を持ち、ときには周囲のサポートを受けることも重要です。

まとめ

会社や自分のスキルアップのために一生懸命に働くことは、素晴らしいことであり、賞賛される姿です。頑張って働いた分に見合った対価として、給料をもらったりキャリアアップしたりすると働くことの喜びを感じることができるでしょう。

しかし、それは健全な体と精神があってのこと。休日出勤で体や心が疲れたと感じたなら、休息をとり、知人や家族と会話をしたり、ストレス発散をしたりして気持ちをリフレッシュさせましょう。生きいきとした表情で働く姿にこそ、人は労働の美学を感じるものです。

(画像は写真ACより)

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高野勤一
高野勤一