日本でよく起きるパワハラ事例と裁判!

2015.09.01
パワハラの定義とは

昨今大きな社会問題にもなっているパワハラだが、いつあなたの職場でもパワハラが起こるか分かりません。今回は、パワハラとはどのようなものか、パワハラが起こらない環境作りについて見てみよう。パワハラとされる「5つの定義」を紹介しよう。

1.「上司と部下」や「先輩と後輩」などの力関係を利用している
2.本来の業務の範囲を超えた要求をされる(謝罪の際に土下座を命じるなど)
3.長期間継続して行われる
4.学歴・性別・容姿など人格や尊厳を侵害する言動をする
5.就労者に身体的・精神的苦痛を与え、就業環境を悪化させる行為である

「5つの定義」を紹介したところで、パワハラ事件の事例を紹介しよう。

パワハラ事例

・前田道路事件
不正経理を行った従業員Aさんに対し上司Xが叱責するが、その後もともと達成困難な計画を達成できなかったとして明らかにAさんが落ち込む様子が見て取れるまで叱責した。上司Xの「会社を辞めればすむと思ってるかも知れないが、辞めても楽にならない」などに発言によりうつ秒を発症し、Aさんは自殺した。

・U福祉会事件
社会福祉法人職員のBさんは、職場で開催された職員会議で他の労働ユニオンに参加したことを同僚から誹謗・避難された結果PTSDを発症した。Bさんは、精神的損害を被ったとして慰謝料を連帯支払いするように求める裁判を起こし、主張が一部認められる判決がなされた。

・誠昇会北本共済病院事件
准看護師として病院に勤務していたCさんは、看護師資格の取得を目指して看護専門学校に通いながら勤務をしていた。職場の先輩KはCさんを勤務後に無理矢理遊びに付き合わされたり、試験前に朝まで飲み会に付き合わされたりした。それだけでなく、先輩Kの肩もみや、家の掃除、洗車、個人的な用事のために車の送迎を命じられる。

Cさんが交際中の女性と会おうとすると、Kは仕事だと偽り病院に呼び出しをしたり、Cさんの携帯電話を使って女性にメールを送ったりした。職員旅行では、KはCさんに対して一気飲みを強要し、急性アルコール中毒になる。Kたちは「あのとき死んじゃったら良かったんだよ、バカ」「うるせえよ、死ねよ」などと発言。

その後もCさんに対して「死ねよ」「殺す」の発言を繰り返したり、悪質なメールを送りつけた結果、Cさんは自殺した。

パワハラが起こるのはどんな職場か

パワハラが起こりやすい職場は、常に固定メンバーで仕事を行っているようなケースが多く存在する。企業規模が大きい場合、数ヶ月単位で組織変更にともなう異動があるだろう。しかし、規模の小さい企業や閉鎖的な職場では人的交流が少なくなり、自然と力関係が完成される。そうなると、内部から異論を唱えるひとが1人いたとしても、権力者に逆らえない者立ちによってもみ消されてしまうということが往々にしてあるのだ。

このようなことが起こらないようにするためにも、定期的に組織編成を変えたり、新しい責任者を導入するなどして職場の風通しをよくする工夫が必要である。また、実際にパワハラの被害に悩んだら、証拠を揃え加害者である上司の上司に相談をしてみよう。裁判を起こす際の費用について悩む人もいるかもしれないが、「少額訴訟制度」という制度を利用して60万円以下の支払い要求についての裁判を考え、負担を減らそうと考えている人も多いようだ。いずれにせよパワハラにあったら、まずは相談してみることが一番である。

記事をシェアする

高野勤一
高野勤一