育休終了後の助け!育児短時間勤務の内容と利用方法は?
2020.09.26
小さい子供の育児をしながらの家事、仕事の両立は大変なものです。子供が1歳の誕生日を迎えるまでは、育児休業を利用して家事と育児に専念することができます。しかし1歳を過ぎたら育児休業は終了し、職場に復帰することとなります。
近年、女性が出産、育児を経て職場復帰しやすい環境は徐々に整ってきています。
とはいっても、実際に復帰したひと、復帰しようとしているひとにとっては、子供の預かり保育とのスケジュール調整がうまくいくかどうかなど、まだまだ不安要素も多いのではないでしょうか。子供の病気で急な欠勤や遅刻、早退を余儀なくされる事態も予想されますが、そういったことに関して周囲の協力は不可欠です。
また子供が保育園にはいれたとしても、早朝保育や延長保育を活用しフルタイムで働ける体制がとれるかどうかは、保育園の事情によるところもあります。保育園にはいれない、はいれたとしても時間外保育に制限があるとなっては、無事に復帰を果たせるかどうか心配になってしまいます。
(画像はイメージです)
仕事をしながら家事や育児もこなさなければならない。フルタイムで働くとなると心配の種は尽きませんが、そのような時に安心できる制度があることをごぞんじですか。それが育児短時間勤務制度です。一般的には時短勤務といわれているので、こちらの方がイメージしやすいひとも多いのではないでしょうか?
育児短時間勤務とは育児・介護休業法の改正によって企業に導入の義務(正確には努力義務です)が課されたもので、育児休暇が明けた後も子供の養育をサポートする目的で作られた勤務体系です。法律では1日の勤務時間を原則6時間とする措置がとられていますが、本人の育児状況に応じてさらに柔軟に対応する制度を併用することも可能です。たとえば通常なら8時から17時(8時間勤務、1時間休憩)という勤務なら、8時半から15時半(6時間勤務、1時間休憩)までに短縮することができるというわけです。そうなれば、子供を保育園に8時に預けて16時にお迎えに行くこともできます。
この育児短時間勤務制度、利用には条件があり
・3歳未満の子を養育していること
・1日の所定労働時間が6時間以上であること
・日々雇用される労働者でないこと
・短時間勤務制度の適用される期間に育児休業をしていないこと
・労使協定で適用除外された労働者でないこと
など、以上をすべて満たしていなければなりません。
なお労使協定により適用除外とされることが認められるのは
・引き続き雇用された期間が1年未満
・1週間の所定労働日数が2日以下
・業務の性質や実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事している
という場合です。管理職はそもそも労働時間の規定の適用除外者になっているため、法的には対象とはしていません。ただし多くの企業では管理職も利用できるようになっているようです。
育児短時間勤務制度とは、3歳未満の子がいる場合に勤務時間を原則1日6時間にするものです。ただ法律に定められたものに加えて、企業独自の判断で設ける制度もあります。よく聞くものとしては、3歳未満の子供に限らず、もっと大きな子供がいる場合でも制度の利用を可能にしているケースなどです。
厚生労働省の2017年の調査では、小学校就学前までを時短の対象にいれることを法的な制度に加えた企業は、約3社に1社と報告されました。さらには小学校卒業前とする企業は約6社に1社など、制度利用の対象を法律の範囲以上に広げている企業も出てきています。
育児休業も同様ですが、育児短時間勤務制度は男女とも取得が可能です。パパママが交代で制度を利用しながら育児をすることもできるということです。
ただし会社にもよるのですが、一般的に最初の育児短時間勤務制度の利用から配偶者の取得期間をはさんで1年未満で再取得する場合は、あらかじめ手続きがいるため注意が必要です。夫婦交代で利用する計画を立てる場合、事前にその取得方法についてよく確認しておきましょう。
育児短時間勤務制度を利用した従業員に対する不当な取り扱いは許されていないので安心してください。
たとえば解雇、雇い止め、減給などの不利益な取り扱いは、育児・介護休業法で禁止されています。ただし実際に働いていない時間分の賃金を支払わない、賞与算定について勤務日数を計算する際に、短縮された時間分を含めないことについては不利益な取り扱いとはみなされません。時短勤務によってどれだけ勤務時間が減ることになるのか、しっかりと確認しておきましょう。
先ほど、勤務を短縮した時間分の賃金や賞与については支払われないと書きました。この点について考えてみましょう。
育児短時間勤務をしていることを理由にした不利益な取り扱いは許されませんので、短縮された時間を上まわる給料、賞与の減額はできません。しかし短縮された時間分の給料は保証されていませんので、基本的にその分を払わない会社が多いようです。つまり実際に働いた時間どおりの給料になるので、通常の8時間勤務と比べるとどうしても収入は低くなります。
つまり経済的な面で考えると、制度を利用している間は以前のようにしっかり稼ぐことはできなくなるということ。賞与の算定でも給料と同様に時短をした分、休んだ分も差し引かれることになります。差し引く金額の決め方ですが、一般的にはフルタイムの給料を時給換算して、時短をした分の時間給を差し引くことが多いようです。具体的にいうと、フルタイム(8時間)で月20万円の基本給に対して、毎日2時間の時短をすると、月あたりおおよそ5万円が差し引かれる計算になります。会社によって制度が異なるため、計算方法などについては勤務先に確認してください。
しかしいつかは育児短時間勤務をやめ、フルタイムに戻る時期を考えることになります。それはどのタイミングがいいのでしょう?
結論からいうと、時間勤務をやめてフルタイムに戻すタイミングはそれぞれの家庭の状況次第ということになるでしょう。子供に体力がついてきて、幼稚園、保育園からの呼び出しもほぼなくなってきた、もう安心してもいいかなと感じた時でもいいです。また小学校入学まで、というキリでフルタイムに戻すひとも多くいます。
給料の面ではフルタイムに戻すことで、収入は増えます。しかし業務量、家事や育児の負担について慎重に検討する必要が出てきます。フルタイムに戻すと、業務によっては出張や残業があるかもしれませんので、そうしたことも考慮して戻る時期を検討していきましょう。
フルタイムに戻れば、仕事時間の変更に伴って保育園のお迎えの時間が変更になる可能性がありますので、保育園にも相談する必要が出てきます。
保護者が帰宅するまでの間、子供をひとりで留守番させるのか。それとも家族でなんとかするのか、そうでなければ延長保育、学童保育、その他の預かり施設やシッターなど利用することになるのかなどを考えなければなりません。家事、育児を分担するといった方向性を話し合い、どうやって仕事に使う時間を確保し家事や育児と両立していくのか、具体的に考えましょう。全部をひとりでこなそうとがんばりすぎることはよくありません。
過去に比べると、女性が出産、育児を経て職場復帰を果たすことができる環境は整ってきました。しかし現場では、仕事の負担が増えるとの不満の声があがることもあり、思うように時短制度を利用できないひとも少なくありません。会社は職場全体に制度の内容とその目的を伝え、周知徹底を行う義務があります。
周りの協力を得ながらとはなりますが、自身のキャリア、そして育児両方に対する気持ちを大切にしてください。そして家庭と仕事を両立しているワーキングマザーなど同じ状況を共有するひと同士積極的に時短勤務を利用し、負担を感じすぎることなく家庭を大切にできる環境を手にいれてください。
おすすめの記事
掃除や家事は運動になる!家事の運動量や消費カロリーはどのくらい?
2024.05.15 - コラム
食いしばりや歯ぎしりは歯を痛める原因に!改善の方法は?
2024.05.10 - コラム
やむを得ない事情で夜遅くの食事に 遅い時間に食べてもいい食品は?
2024.05.03 - コラム