転勤のない正社員として働きたい!地域限定正社員で安定した人材確保を!

2019.11.23

働き方改革により多様性のある働き方を求められる今、「地域限定正社員」に注目が集まっています。

地域限定正社員は、転勤や転居をせずに、勤務地を限定するという条件で雇用される正社員のことを言います。

今回は、その地域限定正社員について、メリットやデメリットを含め、ご紹介いたします。

地域限定正社員とは?

地域限定正社員とは、別名「エリア限定社員」とも呼ばれます。

勤務する地域を限定し、転勤や転居がないという条件で採用される正社員のことを言います。

育児や介護など家庭の事情で、仮に転勤になれば離職するか、パートタイマーのような非正規雇用に変更しなければならない人が多いと、企業側は有能な人材を失うことになってしまいます。

しかし地域限定正社員制度を活用することで、企業は有能な人材を確保することができます。

現在、厚生労働省やハローワークも推進する制度であり、ユニクロや武田薬品工業など、その制度を取り入れる企業は増加傾向にあります。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2017年に実施した「大学生・大学院生の多様な採用に対するニーズ調査」では、72.6%もの学生が就職活動時において、地域限定正社員への応募意向があると答えました。

主婦やベテラン社員だけではなく、こうした若者など学生においても、地域限定正社員への関心や意向が強いことがわかります。

地域限定正社員のメリットは?

・社員側のメリット
育児や介護などで転勤ができない人も、その地域で長く働くことができます。
これにより、家庭と仕事の両立ができ、理想のワークライフバランスを保つことができます。

転勤のリスクがなく、通勤時間も短時間で済むのは、子育て世代にも良心的な働き方であり、少子化問題の解消にもつながります。

また、働きたい意欲や、有能なスキルを十分に発揮できます。

・企業側のメリット
企業は地域の有能な人材を確保することができ、採用後の離職を防ぎ、安定した労働力確保ができます。

労働力確保の難しい地域では、優秀であるのに、非正規雇用を選ばざるを得ない人を積極的に採用でき、長期的に働いてもらうことができます。

また、その地域のニーズを熟知している社員は、その地域に合わせた商品やサービスの提供をすることができ、地域の顧客確保につながります。

地域限定正社員のデメリットは?

勤務している店舗や事業所が閉鎖されたり、職務が停止になった場合に、解雇になってしまうリスクがあります。

企業側は整理解雇を行うのではなく、配置転換や、転勤の代替可能な策を練るなどの配慮をする必要があります。

また、給与面に関して、給料が安く抑えられてしまうケースもあります。

正社員と職務内容が変わらないのに、給与を安く設定してしまうと、地域限定正社員のモチベーションが下がりますが、同じ給与水準では正社員の不満につながります。

企業は、両者の間で給与の差を納得のいくように配慮する必要があります。

昇格について、地域限定正社員は非正規雇用者とは違い、昇格することはできますが、ある一定のレベルまでと定めている企業が多いです。

地域限定正社員は、転勤を経験することで習得できる能力が少ないと考えられることによる結果だと考察されています。

企業は、人事管理や売上状況など、それぞれの事情があることから、どのような給与、昇格などについては、よく協議する必要性があります。

多様性のある働き方が求められる昨今では、地域限定正社員は、働く人と企業の双方にメリットがあり、有能な人材確保のためにも、ぜひ導入したい制度です。

しかし、導入に至るには、業種や企業の経済状況など、それぞれの事情があり、企業は十分に話し合った上で導入し、実際に運用する際は、現社員と地域限定正社員の双方の意見を取り入れつつ、慎重に運用していかなければなりません。

非正規雇用から地域限定正社員への登用人数を増やすことに成功したユニクロや、日本郵政などの成功例を参考に、ぜひ地域限定正社員を導入してみてはいかがですか?
(画像はPixabayより)

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高野勤一
高野勤一