女性の労働力比率「M字カーブ」から抜け出そう!その問題点と解消法
2019.11.22
総務省は2019年9月、労働力調査結果で女性就業者数は約3028万人と発表しました。
前年同月より、男性は5万人の増加だったのに比べ、女性は48万人と、非常に大きな上昇を見せました。
この数値の上昇の背景には、「M字カーブ」の減少が理由としてあげられています。
「M字カーブ」とは、女性の年齢階級別労働力率の指標を表す言葉です。
グラフに表した際に見られる形状がアルファベットの「M」に似ていることから、この名が付けられました。
今回はこの「M字カーブ」について問題点や解消法を含め、ご紹介していきます。
女性の年齢階級別労働力率をグラフ化した際、20代で学校を卒業後、働き始めた頃がピークになり、出産・育児に専念する30代で一旦底に落ち込み、子育てが一段落する40代で再び上昇する傾向が見られます。
この曲線は、日本では「家事や育児は女性が行うもの」という風潮が、いまだに強く残っていることや、子供を持つ母親が働きにくい社会であることを表しています。
厚生労働省が発表した「平成30年 働く女性の実情(令和元年6月24日公表)」によると、10年前の平成20年では、労働力率が一番低い35歳~39歳で64.9%だったのに対し、平成30年は74.8%と、この10年間で9.9%上昇しました。
しかし、平成30年の今でも、ピークの25歳~29歳の83.9%に比べると、30代は数値が下がってしまい、M字カーブから抜け出せずにいます。
ドイツやスウェーデンなどでは、30代で労働力率が下がることはなく、日本に比べ、女性の働き方に対する制度が多様で柔軟であることや、子育て中の女性でも働きやすい社会であることがわかります。
・出産や育児による離職
日本はいまだに「家事や育児は女性がするもの」という風潮が強く、特に子育て中の女性は、時短や定時帰宅をしづらいという引け目を感じ、離職をせざるを得ない状況になりがちです。
・待機児童問題
都市部やベッドタウンでは、常に保育園が満員状態で、空きを待つ子供が多く、女性は働きたい意思があっても働けない状況にいます。
働き方改革により、女性が働きやすい環境作りをしようという取り組みが進められています。
・国の取り組み
・女性活躍推進法
厚生労働省が令和元年6月5日に公布した「女性活躍推進法」により、301人以上の大企業は、自社の女性の活躍状況を把握し、また課題を分析することや、その目標数値や行動計画を公表しなければなりません。
一定の基準を満たした企業に対しては、厚生労働大臣が定める認定マーク「えるぼし」を付することができ、就職希望者に対し、女性の活躍が進んでいる企業として企業イメージの向上や優秀な人材の確保ができるというメリットがあります。
・企業側の取り組み
・テレワークやサテライトオフィスの活用
・フレックスタイムや時短勤務を取りやすい職場の雰囲気作り
・企業における女性管理職の割合の向上
・育児休業明けの正規雇用としての採用
・企業内託児所の完備
それぞれの企業により、取り組みは様々ですが、社員の意見や声を取り入れ、業務や働き方に対する柔軟な体制が必要です。
欧米諸国に比べ、日本は数十年かけても、まだM字カーブから抜け出せずにいます。
しかし、働き方改革により女性が働きやすい環境作りや、多様で柔軟性のある働き方の推進で、M字カーブは少しずつ解消されつつあります。
働く意欲の強い女性や、優秀であるのに働けない女性が活躍できる社会を目指し、また、企業は、働き方や性別に関わらず、社員の能力を適切に評価することが重要です。
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