介護職の残業は減らせるか?働き方改革のカギはIoT
2019.09.30
4月から、いわゆる「働き方改革」関連法が施行されました。働き方改革では、残業の規制強化が大きな柱の一つです。
しかし、なかにはなかなか長時間勤務を削減できない状況の業種もあります。
たとえば、介護業界。介護の仕事は利用者の介助など突発的な仕事が生じやすく、段取りどおり仕事を進めていくことがなかなかできません。そのうえ、介護職は人手不足。
ネットを見ても、仕事量の多さやサービス残業をせざる得ない状況を訴える声をしばしば目にします。果たして、介護の現場では「残業規制」に対応できるのでしょうか。
そのカギはIoTなど情報通信技術にありそうです。
まずは、働き方改革の残業規制のおさらいです。
法改正によって、原則として月45時間・年360時間を超える残業させることはできなくなりました。違反すると6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。ただ、中小企業は1年遅れの2020年4月からになります。
これまでも、残業の削減に取り組んできた会社では、それほど対応に苦労することはないでしょうが、長時間労働やサービス残業が横行していた企業は大変でしょう。なにせ、これまでは多少の長時間労働があったとしても、たいがいの場合は行政指導を受けるだけで、よほどのことがない限り、罪に問われることはありませんでした。
しかし、今回の法改正によって、長時間労働は企業の犯罪行為となってしまったのです。
介護職というと利用者のお世話で体を動かすことが多く、肉体労働のイメージがありますが、意外とデスクワークが多く、働く人の負担になっています。
デスクワークの仕事というのは、たとえば、脈拍や体温、血圧などの生態情報や介護の記録、勤務交替時の申し送り事項の作成などです。
こうしたデスクワークがどうしても終わらず、残業をせざるを得ない、場合によってはサービス残業をしなくてはならないという指摘があがっています。
こうした介護や介助以外の業務を軽減するのに、IoT技術の活用が注目されています。
日立システムズでは、IoTを使って入居者の体調や様子、ケア状況などを把握し、自動記録する「福祉の森 見守りシステム」を開発、4月19日から販売しました。
このシステムでは、居室内に設置されたセンサーで利用者の状況を把握し、居室内での様子や脈拍・呼吸数などのデータをモニターに表示。異変や介助の必要な状況があれば、一目でわかります。
センサーでは、さまざまな情報を把握することができ、居室内全域をカバーするセンサーでは、在室確認はもちろん、AIが徘徊や排泄などの行動を予測。早めの対応を促します。
また、ベッドのマットなど取り付けられたセンサーが、呼吸や脈拍数などを検知し、自動的に記録。寝返りの有無なども感知します。
日立システムズは、こうしたシステムの導入によって、見回り巡回の効率化や介護記録作成の簡略化などを図ることでき、介護職員の負担軽減を図り、働き方改革を進めることができるとしています。
働き方改革のスタートに合わせ、さまざまな勤怠管理システムが登場し、システム開発会社は売り込みにしのぎを削っています。
パソコンの電源のON/OFFで勤務時間を把握し、退社時間を一定時間過ぎるとパソコンをシャットダウンするものや、交通機関のICカードで出退社時間を記録し、交通費の積算までしてくれるものと機能はさまざま。
残業時間が規制を上回りそうだと事前に警告もしてくれます。
しかし、働く人の勤務状況を把握するだけでは、働く時間を短くすることはできません。働き方を見直し、効率化を図ることによって長時間労働の要因を取り除かなくてはなりません。
その方法として、IoTの活用は有力で、日立システムズが開発した介護支援システムは、その一例といえるでしょう。
介護職員向けの業務支援システムを紹介しましたが、こうしたIoTによる業務支援は、ほかの職場でも広がっていくことでしょう。
働き方改革は、ただ「残業をやめよう」「早く退社しよう」と呼びかけるだけでは対応できません。最新技術を活用した業務改革も必要不可欠なのです。
(画像は写真ACより)
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